第412話
ショッピングモールに着工して1週間がたった。
キリーエがアースンを治める領主の元に行き、広大な土地を購入したのだ。
開発途中の土地で、農地を造る予定だったらしいが、そこをかなりの金額で購入したらしい。
元々アースンは港町という事もあり、漁業は盛んであったが、港から離れた場所になると過疎化しており、誰が作るかわからない農地を作るよりも商会で使ってもらい、税を徴収した方がいいと判断したんだろう。
出店する店舗も半数ほどが決まり、店を出す予定の建物も徐々に形になってきた。
モールの名前はホットモールになったらしい。
最初はマルコイモールになる予定だった物を全力で阻止した結果だ。
なんでもモールってつければいいと思うなよ‥
キリーエの仕事については能力は高すぎるが、ネーミングセンスについては一度きちんと話をする必要があると思う。
試しに俺の名前を使った店が、俺の知らないところにあったりしないか確認したんだが、目を逸らして下手な口笛吹いてやがったからな‥
アキーエは時間が合えばキリーエと参入する店舗の声掛けを行っているそうだ。
主に書物や洋服関係だそうだが‥
ミミウは食べ物屋さん巡りをしている。
しかしただ飲み食いしてるわけではなく、キリーエがミミウの情報は重宝しているようで、ミミウがすすめてくる店については間違いはないらしい。
あと楽しみなのか、毎日モールの様子を見に行って、食料品の店の出来具合を確認している。
多分モールが出来上がる前に、出店する店の場所と名前を覚えてしまうだろう。
食料品限定ではあるが‥
アレカンドロについては問題なくギルドの依頼をこなしている。
目立つので【聖鎧闘士】を使っても空は飛ばないように伝えているが、先日夜中に海を飛んで小ぶりのクラーケンを倒して持って帰ってきた。
ここの依頼はオーク討伐とかなので、物足りなかったのだろう。
ミミウが感激してアレカンドロに抱きついていた。
餌付けか‥?
俺は魔道具を作っているのだが、部屋に籠り過ぎは身体に毒なので、モールの状況を確認しに来ていた。
ちなみに魔道具は面白いのが幾つか出来たので、モールが完成したら『アウローラ』に渡しに行く予定である。
今からどんな威力になるのか楽しみだ。
すでに出店が決まっている店については看板などの設置を始めている。
ん?
あの店は‥
「あ!マルコイさん?」
店の中にいる人物が俺を見かけて声をかけてきた。
「やっぱりマルコイさんだ。ああ、すみません。つい知ってる方だったので声をかけてしまいました。」
今日も平常運転のオマールさんだ。
店舗名が『薬屋ロカット』になっている。
「こんな所で会うなんて思いもしませんでした。今日はどうなされたんですか?あ、ここが何か気になって来られたんでしょ?ここは何とあのホット商会が作っているショッピングモールっていう施設なんですよ。」
うん知ってる。
知り過ぎてる‥
「たまたま此方に買い出しに来てたんですけど、その時にホット商会の本部の人から声をかけてもらって!それでここで店を出店してみないかと言われまして!もう本当に夢のようですよ!これでセイルズにいる妻と子供達を見返してやれますよ!ああすみません。またくだらない話をしてしまいました。」
ええっと‥
まあ頑張って下さい‥
「ところでマルコイさんはホット商会の会長さんがどんな方が知ってらっしゃいます?私はまだお会いできてなくて‥こんなに凄い事をやろうとされている方ってどんな人でしょうね?でもこの方法なら商売下手な商人であっても買ってもらえる機会を得る事が出来たんです。商品はいいはずなのに、売り買いに関するスキルがなかったから同じ土俵にすら立てなかった。確かに売る事に対して、同じ場所で売ったとしても差が出るでしょう、だがそれでも‥同じ場所で売る事ができるのが素晴らしいんです。」
‥‥‥‥貴方は会長の目の前にいます‥。
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