第240話
突然始まってしまったリュストゥングとの模擬戦だが、俺の気持ちは昂りまくっていた。
「それじゃ始めるけど、特に準備はいらないんだよな?」
「ああ。俺は構わん。元々俺は武器スキルがないので武器は使えんからな。スキル【換装戦鎧】でここまで来たのだ。このスキルとこの身体が俺の武器だ。」
だがそのスキルとその身体が最強たる由縁なんだろう。
相手は強いと最初からわかっている。
様子見なんて必要ない。
最初から本気で行かせてもらおう。
「もし死にかけてもうちが持ってるポーションがあれば大抵の傷は治せるから、思っきしやってええよ〜。」
キリーエが手に持つ小さな瓶を振りながら言ってくる。
見た事ない物だが、かなり高価な物なんだろう。
「いいのか?かなり希少な物じゃないのか?」
俺が問いかけるとキリーエはニカッと笑う。
「マルコイさんはともかく、リュストゥングさんに使う時はしっかりお金払ってもらうからええよ〜。Sランク冒険者なんやから、お金をたくさんもってあるやろ?」
「ふむ。別に構わん。それよりもお主俺の嫁に来ないか?」
「うちは商才ある人やないと無理。」
おう、スパッと切ったな。
あ、リュストゥングのおっさんが闘う前から崩れ落ちてる‥
「マルコイこそ準備はいいのか?」
持ち直したリュストゥングが聞いてくる。
「俺は基本的に動きやすい格好だからこのままで大丈夫です。あとはこの剣があればいいですから。」
俺はダマスカス剣を抜き両手で持つ。
「そうか。それなら開始の合図だけ誰か頼む。」
アキーエが少し前に出で、俺とリュストゥングを見る。
「それじゃ始めるわね。お互いいいかしら?それじゃ‥始めっ!」
俺は開始と同時にエンチャント:暴風を使いリュストゥングに迫る。
このタイミングで一撃入るなら油断している方が悪い。
おそらく無理だろうけど‥
一瞬でリュストゥングの前に来て剣を振り下ろす。
「『着・闘鎧』」
俺の剣はリュストゥングが使用したスキル【換装戦鎧】の鎧に阻まれる。
「開始早々決めに来るか!」
「挨拶がわりですよ。」
俺はそのままエンチャント:爆炎を使い膂力を上げる。
膂力を高めて力を込めリュストゥングに剣を打ち込む。
俺の剣はリュストゥングの鎧を削っているように見える。
しかし傷が入った場所はしばらくすると修復しているようだ。
だがおそらく鎧を修復するのにも魔力を使用するはず。
ならばこれだけ強力なスキルだ。
使用する魔力も半端ないはず。
このまま魔力を削り切る事ができるか?
俺の攻撃の間を図り、リュストゥングが攻撃を放ってくる。
拳による攻撃だが、一撃が重い。
剣で受け止めたが後退させられる。
その隙を利用してリュストゥングは鎧を換装する。
「『解・鎧』」
「凄まじい攻撃だな。しかし俺にも攻撃させてもらうぞ。『着・疾風鎧』」
リュストゥングは鎧を換装してこちらに迫る。
速さ重視の鎧なのか、かなりのスピードだ。
エンチャント:暴風でスピードを上げるべきか?
いや、この鎧での攻撃力を図るべきだな。
俺はエンチャント:土塊を使用して防御に特化する。
リュストゥングはこちらに迫ると同時に攻撃を放ってきた。
スピードを上げているからか隙のないほどの連続攻撃だ。
俺は剣で捌くが捌ききれないものを数発受けてしまう。
エンチャント:土塊を超えるパワーだが、致命傷のそれではない。
攻撃の合間にバックステップで距離をとる。
エンチャント:水で回復を図る。
やっぱりこのおっさん強いわ。
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