第397話
う〜ん、宴会に来たんだか料理を作りに来たのかわからない状態になってしまった。
結局ハンバーグも作る事になってしまった。
まあみんな美味しそうに食べてたからよかったんだけどね。
ただフーラさんがハンバーグにタルタルをぶっかけてたのには流石にちょっとと思ったが、人の味覚はそれぞれである。
たとえそのタルタルハンバーグに人が群がっていたとしても‥
ひと段落してハンバーグを頬張りながらお酒を飲んでいるとエルエス兄さんが声をかけてきた。
「ようマルコイ。凄いなお前、料理も作れるようになったのか?家では全くそんな事しなかったのにな。俺もステーキをもらったけど美味かった。いつの間にかいろんな事ができるようになってたんだなぁ。」
「あれは素材がよかったからだよ。俺は焼いただけだ。」
「でもあの南蛮って言うのか?あれはお前が考えたんだろ?」
「あれはまあ‥そうだな。俺が考えたって事になるのかな。」
正確には異世界の誰かが考えた料理になるんだけど、この世界で作ったのは俺だしな。
料理好きの異世界人に感謝ってところか。
「正直少し嫉妬するよ。兄貴としてはな。」
「そうか?」
「ああ。一応こう見えても副団長になって強さも手に入れた。でも弟がそれよりも先に行ってたら兄貴としては少し複雑だな。小さい頃から一緒だった仲だから尚更だ。」
「はは。でも俺は冒険者だ。兄貴の方が副団長って責任ある立場なんだからいいんじゃないか?」
「お前嫌味かまったく‥よしっ!それじゃあ兄貴の威厳を見せるために、いっちょ腕相撲でも‥」
「ちょ、や、やめ、エルエス兄‥」
「待ってました!!やっぱり宴会といったら腕相撲大会やね!今回も商品用意しとるよ〜!」
「わーい!やったですぅ!」
「ミミウさん!今回は自分が勝たせてもらいます!」
「よーし!今度はリベンジするわよ!」
はぁ〜‥
やってしまったな‥
「ほう!マルコイお前のパーティの宴会は毎回腕相撲してるのか?よしっ!それじゃあ俺の強さを見せてやるぜ。決勝は俺とお前の兄弟対決でもするか?」
「いや、俺は不参加にしておく。」
「なんだ〜?体調でも悪いのか?こう見えても俺は腕相撲には自信があるんだ。お前はそこで兄貴の勇士を目に焼き付けな。」
「おう‥ま、まあ頑張って。」
意気揚々と腕相撲を行いに向かうエルエス兄さん。
「お!初戦はミミウちゃんか!残念だけど、昔のよしみだからって手加減はしないからなぁ〜。」
あ、初戦ミミウか‥
せめて『アウローラ』の人とでも当たったらよかったのに‥
しばらくしてエルエス兄さんは右手を見ながら、呆然として帰ってきた。
心折られたな‥
「マルコイ‥いやマルコイさん。あれは本当に俺が知ってる武器屋の娘さんでしょうか?」
「はい。あの娘は貴方が知っている武器屋さんの娘さんです。ただ少しばかり成長して力がドラゴンみたいになってますけど、間違いなく貴方の知ってるミミウさんです。」
がっくりと落ち込むエルエス兄さん。
「がはははは!俺の対戦相手はドラゴンスレイヤーの姉ちゃんか!だが腕相撲は純粋な腕力勝負だ!残念だけど力に関しては俺が‥‥」
アキーエに対してメンセンが何か言っている。
しょうがない。
強めのお酒でも準備しておくか‥
「いててて‥アレカンドロのやつ、いつの間にあんなに強くなったんだ。」
クワイスがぼやきながら此方に近づいてきた。
「うおっ!なんだこの負のオーラが漂う場所は?」
クワイスがエルエス兄さんとメンセン、他ミミウたちに負けた傭兵団の人たちを見て声を上げる。
「あ、気にしないでくれ。無謀にも強者に立ち向かった人たちの末路だ。」
「店長!強めの酒をもう一杯!」
エルエス兄さんがフーラさんにお酒のおかわりを頼んでいる‥
ある意味勇者なんだろうけど、皆さん仲良く心折られましたね‥
ちなみに腕相撲大会の勝者はまたしても食事券がかかると無敵のミミウさんでした‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます