第707話

「ハニー!僕のマイハニー!会いたかったよ!」


あーもう‥

やっぱりそのまま亡き者にするべきだった‥


「ハ、ハニー?マルコイさんに対してハニー!?マルコイさんに対してっ!?」


うるさいなラケッツさん‥


変態の言葉にいちいち反応してたら立派な大人になれないぞ。


「こいつは俺が獣人国の闘技会に出た時に戦った奴でな。何でかしらないけど、俺の事を気にいってるみたいでさ。」


「気に入ってるじゃないよ!愛してるんだ!」


顔にツボの痕をつけたままで何を言ってるんだお前は‥


今からでもいいから、本気で亡き者にできないだろうか‥


「マ、マルコイさんを愛してる‥ひ、ひぃ!」


ラケッツさん。

君も大概失礼だね。


もう少し危険な魔道具を装備させても良さそうだね。


「ところでマイハニー。僕は何故こんなところにいるんだい?それと頭と身体中が物凄く痛いんだが、何故か知ってるかい?」


頭は俺が潰れるくらい掴んだからだ。

あと身体は投げ飛ばしたからかもしれないけど些細な事だ。


「お前は魔族に操られていたんだよ。それで俺たちと戦ったんだ。」


「な、なんて事だ‥僕が愛する人に剣を向けるなんて‥」


よし、もう一度光属性を流すかな。

次は本気で顔を潰す気でやってみよう。


「僕が覚えているのは、エルフの国に戻る途中に魔族と会ったところまでなんだ。」


おっと、先に話を聞いておく必要があるか‥

先走りそうになってしまったよ。


やはり魔族に会って捕まったんだな。

しかしロメントならそう易々と捕まるような事はないと思うんだが‥


「その魔族は上位魔族のようだった。負けはしなかったけど、勝てる見込みもなかったから逃げるつもりだったんだ。だけど途中で他の魔族にも加勢されてね。力及ばず捕まってしまったんだよ。」


Sランク冒険者でも上位魔族を倒す事はできないか。

ロメントなら対等に戦えるかもしれないが、倒す術がないからな。

対等なら無力化する事も難しいから、逃げの一手になるよな。


「その後にどこかに連れて行かれたんだ。相手が僕を殺さないってわかったから大人しく従ってた。その後にシームーと呼ばれた魔族が目の前に現れたんだ。」


やっぱりシームーってやつか‥


しかし洗脳か‥

魔王はそんな事しなさそうだったんだがな‥

搦手よりも真正面から突っ込んできそうなタイプだと思うが‥


魔王とは別の影が見え隠れするな。


『あのお方』とやらが絡んでる気がする‥


まあいい。

そのうち向こうからやってくるだろ。

俺にできる事は、それに向けて戦力を増強するだけだ。


「なるほどな。わかった。ロメントも疲れたろ?今日はもういいからエルフの国に帰るといい。」


「え?今日?今から僕はエルフの国に帰るのかい?」


「え?だってエルフの国に帰る途中だったんだろ?遠慮なく帰っていいぞ。なんだったら空飛ぶ魔道具も貸してやる。いや返しにくると困るから、そのまもらってくれていいぞ。もう返しに来るな。」


「辛辣!ハニー辛辣だよ!ハニーの心に相手を思いやる気持ちはないのかい!?でも‥それもいい!!」


くそ‥変態め‥


どうにかしたいが、何を言っても逆効果にしかならない。


う〜ん‥

誰かに押し付けられないものか。


「やっぱり僕の居場所はハニーの横なんだ!ハニーさえいてくれれ‥んごっ!」


俺はとりあえずロメントの顔を掴む。


「まだ魔族の洗脳が続いてるみたいだな。情報は得たから用無し‥間違えた、しっかりと養生するといい。」


俺はロメントの頭に光属性を流すため、腕輪から魔力を供給する。


魔力がどんどん身体の中に流れてくる。


ん?


魔力の流れがおかしいな。


これはやばいかもしれない‥


俺はすぐにエンチャント:守護する者を発動する。


よかった、何とかエンチャント一回分は魔力が回復していた!


如何なる攻撃からも守ってくれる光の膜が俺を包む。


それと同時に腕輪が激しい音を立てて爆発する。


くっ!

かなりの衝撃だ‥

エンチャント:守護する者がなければ俺の手首から先は無くなっていたかもしれない‥


危なかった、やはり気をつけなければいけないな‥



ん‥‥‥‥?



あっ!

ロメント掴んでるの忘れてた‥

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