第706話

「なあ‥あれは何をやってるんだ?」


「ああ、あれ?ミミウが食べれるモンスターを見つけてリルが倒して、キリーエが回収するっていう流れ作業よ。」


うん。

何となくそうかなぁと思ってました。


「そっか‥ところでキリーエの回収ってなんだ?」


「え?マルコイがキリーエにスキル渡したんでしょ。そのスキル【ボックス】を使ってキリーエがお肉を回収して回ってるのよ。」


えっと‥


キリーエにスキルを渡した。

確かに渡したが、商人だから商売道具やパーティの消耗品を俺とキリーエで半分ずつ分けて、俺がいなくても使えるようにした。


そのつもりでスキルを渡したんだが、まさかお肉回収に使われるとは‥


「あとマルコイが以前渡したスキルで存在自体が神出鬼没になったのと、キリーエの先読みする力でいつでも必要な物を持ってきてくれるわよ。」


そのスキルもキリーエが狙われていた時に、俺が確かに渡した。


でもこんな風になるなんて、あの時誰が予想できようか‥


皆んなそれぞれ違う道に突っ走ってるな‥


多分パーティの中では俺が1番まともなんだろうて。


「それじゃ、後の事は頼む。こっちに戻ってくる魔力を回復させる必要もあるから、少し遅くなると思うけどよろしくな。」


「うん、わかったわ。ちゃんと謝って‥間違えた、プリカとギルドに報告しておくわ。」


城壁をぶっ壊した件ね。


どんまい。

キリーエがいるから大丈夫さ。


「おう。それじゃあ俺は実験場‥間違えた、向こうの戦場に戻るよ。」


さてと‥

魔道具の勇者ラケッツさんたちのところに一旦戻るとするか。







俺は転移を使って、帝国と神聖国が戦っている戦場に戻る。


念のため転移してすぐに魔力供給の腕輪をつける。


戻ってラケッツさんたちが苦戦していたら、俺が戦わなくてはいけないからな。


しかしそれは杞憂だったようで、あたりは落ち着いているようだった。


その場で周りを見渡すと、傭兵団と神聖国の兵しかいないようだ。


すぐそばに転移の目標としていたラケッツさんがいたので声をかける。


「ラケッツさん。戦いはどうなった?」


「あ、マルコイさん。そうですね、マルコイさんがいなくなってしばらくしてから魔族が撤退して‥その後に慌てて帝国兵も撤退したみたいです。」


「そうなのか?てっきり魔族は最後まで戦いを挑んでくると思っていたけど‥」


「そうですね。俺たちも優勢とまではいかなかったので、魔族が撤退する理由がわかりませんでした。でも1人の魔族が撤退を決めたみたいで、他の魔族はその魔族について行きました。」


1人の魔族ね‥


ここに来ていた十魔はほぼ倒したはずだが‥


そういえばロメントを連れてきていたシームーとか言った魔族が途中からいなくなっていたな‥


もしかしてそいつかな?

俺と戦わずに逃げる算段をつけてたって事か?


何か怪しいな‥


もし何か企んでるとしたら、いずれ俺の前にまた現れるかもな。


「それじゃあ今は戦後処理ってところかね?」


「そうですね。帝国兵を追い返した事で安堵してますけど、神聖国兵にもけっこう被害でてますからね。」


確かに。

俺が対モンスター用の魔道具を装備した傭兵団でさえ怪我人はかなりいるんだ。


人対人、自分の力のみで戦っていた彼らに被害が出てないはずがない。


だが今は勝利を喜んでいいだろう。


今回帝国は神聖国を滅亡させる気で攻めてきたはずだ。


今回それを退けた事で、帝国はすぐに神聖国を攻める事はできないはず。


もしかしたら戦争をしかける余力もなくなったのかもしれない。


「おい!ラケッツ君!もう少し状況を詳しく説明してくれないか!?」


ん?

聞き覚えのある声がするな‥


「うろ覚えで魔族に捕まった事は覚えている。しかしこの後の事をほとんど覚えてないのだ!」


あー、うるさいやつが起きた。


「やや!ハニーの匂いがする!ここに僕のマイハニーが‥おごっ!」


とりあえずうるさいのでタルタル壺を投げて黙らせる。


めんどくさいなぁ‥

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