第631話

とりあえず出来た剣を試すために卓を呼んで実験する。


剣に付加しているので、卓には扱う事が出来ないがアシュラ君に持たせれば問題ない。


職業スキル持ちとしては扱えないが、鈍器として振り回す事が出来るしな。


剣に光属性を付加しているだけなので、実験と言っても試し斬りするくらいなので特に面白味もない。


「素晴らしいですマルコイ様!斬れ味もさる事ながら、これに光属性まで付加されているなんて!」


「そうだなぁ‥これでいいんだろうけど、問題点が解決してないんだよな‥何かいい案ないかな卓?」


「そうですね‥剣が折れても、光が剣を形取って戦えるなんてのはどうですか?剣が折れた後に『ここからがこの剣の本当の力だ!』なんて言いながら、光の剣なんて使うとかっこいいと思います!」


光の剣?

実体がない武器でどうやって戦うというのだろう‥?


相手の攻撃を剣で受け止める事ができないし、何より光では相手を斬る事ができないだろう?


魔族相手なら効くのだろうか‥


ビリってしたみたいな‥




しかし光の剣か‥


実体がないのは困るけど、剣自体を光で覆うのはいいかもしれないな。


武器を光属性で覆うような物にすれば、得意武器に光属性をつける事ができる。

光属性を付加する魔道具さえ壊れなければ手持ちの武器が壊れても新しい武器に付加する事が出来る。


これなら悩んでいた2つの問題も同時に解決する事ができるんじゃないか?


「ありがとう卓。さすがに光の剣は無理だが、新しい魔道具のヒントは得られた。これで魔族との戦いに必要な魔道具の目処が立ちそうだ。」


「ふおー!そ、そんな勿体ないお言葉!マルコイ様のお役に立てて本望です!」


お、おう。

今気づいたんだが、俺と話をしていても卓の足が震えていない。


なんだろう‥


精神が肉体を超えたのだろうか‥

魔道具愛好者の卓のトラウマ克服は、目の前で魔道具を作る事だった‥みたいな感じになってる気がするんだけど。


そのうち魔道具作りを手伝っていたら記憶も戻りそうな気がする‥

でも今の卓を見ていたら記憶戻らなくてもいい気がするんだけど‥




光属性の魔道具は帯革にして使用者の魔力を使う事で発動できるようにした。


持ち手の部分に巻き付けておけば魔力も流せるしな。


しかし卓の知識にあったライトな剣も気になる。

魔法を使って物質の第四の状態であるプラズマを作り出して、それを剣身にするのだ。


これなら相手も同じ武器じゃないと防ぐ事ができないし、相手の攻撃も全て焼き切りそうな気がする。


しかし簡単には出来なさそうなので、卓と時間をかけて作成していこう。


卓には開発まで怪我をしてもらっては困るので、魔道具増し増しで戦いに挑んでもらうことにしよう。


アシュラ君に多脚魔道具の速いぞ君、羽人形もどうにか取り付けて搭乗型ゴーレムもびっくりの戦闘用魔道具人間にしてしまおうと思っている。



まあそれはいいとして、今回は携帯型光属性魔道具の作成も上手くいったので早速実験を行ってみる。


しかしこれも魔族相手に試す事が出来ないので、試し斬りだけだな。


腕に装着してリルの頭を掴んだらあばばばとなるだろうか‥?


嘘です。

リルさん。

剣を抜くのはやめて下さい。


でもとりあえず人族には影響はないので腕に装着して魔力を流してみた。


装着している腕が光りだす。


光は徐々に広がり、やがて全身を光り輝かせる。


おお!

自分で作っときながら凄いな。


アキーエが俺を凝視している。

光り輝くいい男って言いたいのかい?


「ねえマルコイ。物凄く光ってるわ。言いにくいんだけど、物凄く神々しくてまるで神様みたいよ。」


なぬ?


すると突然‥



悪寒がした。


首筋がゾクゾクする。


何故かセイルズの方向を向くと悪寒が酷くなる。


俺は女神に祈る。


お願いだから、俺が光った事がフーラさんに伝わりませんようにと‥

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