第53話

(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【鍛造】を模倣しました』


『スキル【鍛造】を確認しました。統合条件を達成しました。模倣スキル【鍛治】【装剣師】【鍛造】を統合します。スキル【剣匠】に統合しました』


おおっ!

スキルが統合できた。幾つか模倣して統合できたらいいなとは思っていたが、こんなに早く出来るとは思わなかった。

しかしスキル【鍛造】が必要だったとなると、今日の出会いがなかったら統合も出来なかっただろうな‥

だってこんな外壁側の端にある店は多分来なかっただろうし‥

スキル【剣匠】か。

スキルを得たと同時に様々な知識というか感覚が頭に入ってくる。

炉の温度や鍛造する状態などが今ならわかる。

うわ〜、めちゃくちゃ鍛治してみたい‥


「サミュウさん。ここは特注で剣を作ってもらう事はできますか?」


「はい。お受けしてますよ。ただお値段は展示品よりお高くなりますけどね。」


「それと相談なんですが、料金はきちんと払いますので俺にここの炉を使わせて貰えないでしょうか?」


作業を見せてくれと言ってきた人はいるだろうが、作業場を使わせてくれと言ってくる人はいなかったのだろう。

サミュウさんは少し驚いた様子の表情をしていた。


「それは構いませんが、お客様は鍛治スキルを持たれてるんですか?」


まあそうなるよな。

さて唸れ俺の【思考】!


「俺のスキルは少し特殊で色々と応用が効くんですよ。ははは‥」


‥‥‥唸らなかった。


「別に構いませんよ。ただ使用する時間はこちらで指定させてもらっていいですか?あと作業場の使用料はいただきます。素材はどうしますか?」


「素材はちょっと検討させてください。自分で用意できるのはやってみたいんで。」


「それじゃ素材や日にち等が決まったら教えて下さい。それまでにこちらも時間を検討しときますね。」


サミュウさんに礼を伝えて店を後にする。


「いきなりどうしたの?またスキル統合とかしたわけ?」


さすがアキーエさん付き合いが長いとわかりますか。


「その通り!スキル【剣匠】を発現した!これで自分だけの武器を作れるぞ。」


「それで素材とかどうするの?採掘しに行くの?」


ふふ。アキーエの呆れ顔も見慣れたもんだ。でも笑っているから楽しんでいるとは思うけど。もしかして採掘マニアとか?

しかし採掘もいいが、でるかわからない物を探すより適任がいるからな。


「キリーエ。剣の素材なんかはこの街で手に入るのか?」


「そうね。多分市場に行けば、手に入るとは思うけど専門じゃないから品質とかはわからないわよ。」


「ふふふ。うちのパーティには【判別】のスキルを持っているアキーエがいる。それで良質な物を判断して、キリーエの交渉能力で安く手に入れるのだ!」


「あ、なるほど。それならいい物が安く手に入りそうね。」


「そして市場なら食べ物も出てるはずだから、ミミウの食欲も満たす事ができるはず!なので明日は皆んなで市場巡りをしよう!」

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