第464話

ライリーはスキャンを追っかけ回しているので、とりあえずは戦いが終わりに近づくまで放っておこう。


忘れると大変な事になるから、しっかりと覚えておかないと後で一生恨まれそうだ‥




戦場は優位に運んでいるようだ。

特に団員に大きな怪我をしたような人はいないようだな。


今回俺たちパーティは基本的に後方支援に回っている。


アキーエやアレカンドロも様子を見ながら、団員の助けをしているようだ。


そのアキーエの姿を見て『ガルベスト』の団員は女神を見るような目で見ている。


あながち間違ってはいない。


爆殺女神ですから。


『アウローラ』の団員たちは少し腰が引けてるような‥



アレカンドロもスキル【聖鎧闘士】を使って団員をフォローしている。


いや、あれは強いやつを探しながらウロウロして、ついでに団員をフォローしているように見える‥


脳筋全開だな、おい。



まあミミウも食べれそうなモンスターを探しているみたいだから、いつもとあまり変わらないんだけど。


もしかして食べれそうな強いやつがいたら、アレカンドロと取り合いになるのか?


いや、そうなると多分アレカンドロが倒してミミウにプレゼントしてる姿が目に浮かぶな。



しかしスキャンはすごいな、滑るようにゴーレムを操っている。


これは『アウローラ』のクワイスも驚いているようで、その動きに見惚れていた。


もしかして『アウローラ』で正式採用してくれるかな?




そんなクワイスの側に彼がいた。


ラケッツさんだ。


俺が作った魔道具は今のところ大活躍してくれている。


まあライリーの洋服や武器の件、それにメンセンの働きが地味だという反省点はあるが‥


しかしまだラケッツさんの魔道具が活躍していない。


俺の予想が正しければ、新しい爆発の使い方だと思うんだけど‥



俺が見ているのに気づいて、クワイスがラケッツに何やら耳打ちしている。


するとしぶしぶラケッツさんが前に出てきた。


クワイスが何を言ったのかは、後でちゃんと教えてもらうとしよう‥


ラケッツさんは腰に下げていた剣を持ち、モンスターに戦いを挑んでいく。


ラケッツさんはスキル【剣士】持ちだと言っていた。


足の速いモンスターは最初の爆発でほとんど倒せたので、残ったモンスターはそれほど素早くない。

ラケッツさんでも何とか倒せている。


しかし【剣士】のレベルもそこまで高くないようだし、1人では一度に何匹も倒すのは難しいだろう。


案の定、3匹のモンスターに囲まれている。


クワイスが助けに‥


いや、あいつ少し離れて見てやがる。


明らかに爆発に巻き込まれないようにしているな。


団員の危機だというのに全くとんでもない団長だ!



しかしそんな団長を持つ団員でも大丈夫!


危機に陥った時に、その鎧が守ってくれるはず!



正面から襲ってきたオークに、ラケッツは剣を打ち付ける。


オークは袈裟斬りに斬られて絶命する。


しかしその隙に後ろから別の大型の蜘蛛が攻撃してきた。


ラケッツさんはなんとか転がって攻撃を躱す。


ああ!

危ない!

よかった。

助かった。


しかし転がった先にもう1匹オークがいたため、次の攻撃は躱せなかった。


オークが持っているボロボロの長剣はラケッツの肩口にその切先を‥



爆発した。



はい。

爆発しましたよー!




ラケッツは衝撃で身体がのけぞっているけど、無事のようだ。


攻撃をしかけたオークは上半身がこんがり焼けている。


そう。

ラケッツに渡している鎧は攻撃を受けた場所が爆発して相手の攻撃の威力を軽減するとともに、相手にダメージを与える優れものだ!



木の鎧は下に火薬を詰め込んでいるのだが、鎧に秘密があり、鎧の部位一つ一つが曲線で出来ている。


その為、攻撃を受けた箇所の角度に対して、そのまま反射的に爆発する。


爆発には指向性を持たせており、装着者に熱が伝わる事はない。

その為に下地にも熱耐性を持たせてるからな。



でも衝撃を吸収しないといけないこと忘れてたけどね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る