第655話

そう。

俺の作った大型ゴーレム。


機動戦‥

いや、違うな‥


駆動戦士ガン‥‥

いや、これも違うな‥


『ゴーレム戦士デッカイ』だ。


うん、これくらいの方がいいような気がする。


全長約15mはあるゴーレムだが、今までのゴーレムと違うところはゴーレムの上に乗る搭乗型ではなく、ゴーレムの真ん中に入り込むような形になる。


ミミウのスキル【精霊重士】の姿を参考にさせたもらった形だ。


残念ながらミミウのスキルのようにミミウの思考を精霊が読み取って動くような高機能の動きはできない。


だってでかいんだもん。


足一つとってもかなりの量の魔力回路を這わせている。


その足を動かそうとしたら、足に膨大な魔力を流して動かす事になる。


空気中から魔力を吸収しているとはいえ、両脚を同時に動かすと吸収している魔力だけでは足らず、操縦士の魔力を根こそぎ持っていく。


操縦士は自分の魔力をなるべく使わないように右脚を動かして止めた後に、左脚に魔力を流して動かすといった方法をとる必要がある。


バックパックに空気中の魔力を吸収する魔力回路を設置しているが、それでも魔力が足りないからな‥


この辺の問題を解決して、走れる大型ゴーレムを早く作りたいものである。


時間を作って卓と色々と試してみよう。

魔力回路を小型化して何個か付けるか、新しい方法を考える必要があるな。


そんな事情があるから、この大型ゴーレムは動きが恐ろしく遅い。


クワイスにも事前に操作の説明だけはしていたが、それでも初乗りになるから梃子摺るだろうな。


でもね‥


戦場にいる全ての人やモンスターが見上げている。


そこにいるだけで威圧感が半端ないぞ。


すごいぞデッカイ!


「ほら、クワイス頼んだぞ。」


クワイスはデッカイを見上げる。


「マルコイさん‥どうやって乗ったらいいの?」


あ、忘れてた。

今の状態だと、脚をよじ登って乗らないといけないな‥


今回は俺がいるから時空魔法を使って空気の階段を作ればいいけど、俺がいなくても乗れるようにしとかないとな‥


できれば地上にいて、デッカイに吸い上げられて乗るようなカッコいい仕様にしたいけど。


俺は時空魔法を使い、クワイスを操縦席まで移動させる。


「よし、クワイス。操縦方法は事前に説明した通りだ。焦らなくてゆっくり動かしていいからな。こいつが動くだけで威嚇になるから。」


デッカイを出してから、帝国兵や神聖国の兵の動きが止まっている。


まあそりゃそうだよな、突然こんな大きなゴーレムが現れたらそうなるよ。


「じゃあマルコイさん行ってくる!」


「おう!戦況を変えてくれ。」


クワイスは片手を上げて俺に応える。


あれ?

クワイスも意外と乗り気ではないのかい?


団長とはいえ、今まで戦場では活躍してるの見た事なかったからな‥


意外と実は目立ちたかったとか?


いやよいやよもってやつかな?




そんなデレたクワイスさんが操縦するデッカイが動き出した。



ゆっくりと右脚を動かす。


地面から離れた右脚が数メートル先の場所に着地する。


そして今度は左脚が動き出す。


こうやって交互にしか動かせないし、走る事もできない。


だが動いてるってだけで周りの人は恐怖だな。


でかいサイズのドラゴンでさえ10m越えるかどうかってところだ。


多分俺がスキル【アバター】で乗り移ったドラゴンと同サイズか少し大きいくらいじゃないだろうか?


そんな馬鹿でかい奴が敵陣から自分のところにやってくるのだ。


俺が帝国兵なら気が気じゃないね。


さてと‥


最終兵器デッカイが動き出したので、俺の仕事は‥




デッカイを見て後退りしている帝国兵の中から1人の男が歩み出てきた。


「なんだコレは!面白い面白いぞ!俺は十魔のアフアーブだ!こいつは俺が相手するぞ!」


こんな感じで出てくる魔族の相手をするとしましょうかね。

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