第759話

「ははっ!そりゃいいな。ヨエクもまさか自分の管理している所に潜んでるなんて思わないだろうからな。」


まずそんな所に隠れようとする発想が凄い。


「それは冒険者ギルドが匿ってるのか?」


「うん。そうなるみたいやね。」


へぇ。

あれだけ冒険者ギルドは中立だって言ってるのに、片方に手を貸していいもんなのか?


「なんでも、死にそうな人に手を差し出すのは冒険者として当然の務めなんやて。そんで相手が依頼をしてきたら、それを受けるんも冒険者の務めって言ってたわ。」


確かにそりゃそうだ。

別に意図的に介入したわけじゃないって事だな。


「まあヨエクがよっぽど嫌われてるんか、王様が好かれてるんかわからんけど、うちらとしてはありがたい話やね。」


確かにその通りだ。

王様の人徳はわかる。

しかし残念ながらヨエクも国内にかなりの支持者がいる。

人徳に関してはないと断定できるが、あいつに味方するメリットがあるんだろうな。


王様も誰が敵に回っているかわからなかったから、冒険者ギルドを頼ったのかもしれない。


「それとマルコイさん、悪い情報が二つ。一つは王様には冒険者ギルドから【ボックス】持ちの冒険者がついてるさかい、食糧は心配ないらしいんやけど、モンスターが跋扈している鉱山で、日が経つほど生存率が下がるだろうって事。もう一つは王様が見つからないヨエクがそろそろ自分の管理する場所を探し出す可能性が出てきたらしいわ。」


間に合いはしたがギリギリみたいだな。


「わかった、今からでも行くか!」


「マルコイさん、今日はもう少ししたら夜が明けるさかい行くならまた日が落ちてからがええよ。昼はうちが見張っとくさかい、それまで待っててや。」


「確かにそうだな‥すまないキリーエ頼めるか。」


「ええよ。うちが1番適任やさかいね。」


「それじゃあ皆んなもう一度日が落ちたら行動開始だ。」


全員が頷く。


「あとキリーエ。鉄のインゴットって持ってたよな?」


「持っとるよ。今いるん?」


「ああ。キリーエ用にちょっと魔道具を作ろうかと思ってな。」


「うち用に?ええよ、鉄のインゴットと言わず、色々持って行ってええよ!」


【スードゥクリエイター】のお試しのためにいくつか魔道具を作ろうと思っている。


そんなに大掛かりな物は作れないからな、とりあえずキリーエの武器からだ。


しかしキリーエよ‥

自分用の武器と聞いたからなんだろうけど、オリハルコンのインゴットはやり過ぎだと思うぞ‥





教会内で皆んな思い思いに過ごしている。

俺も夜に向けて仮眠してもよかったが、夜が明けると見張りに出ていったキリーエのために、素晴らしい武器を作ってやるという使命に駆られている。


本音を言えば、ただ素晴らしい物を作り出したいという欲求に駆られている。


もう少し本音を言えば、金属で魔道具を作れるなんてウヒヒヒヒ‥‥である。

家に戻るまで我慢できませんでした!


まだ【スードゥクリエイター】は金属を扱う事が出来ないので、一旦別の物を作ってレベルを上げる。


どうでもいい物を作るのは魔道具職人として許されない事なので、対リル用の木偶人形を作る事にする。


恐怖人形『バラバラ君』でさえ、リルには通用しなかった。


斬られてもいいようにバラバラになるようにしたのに、バラバラになる前に斬られるので意味がないのだ。


リルのびっくりしたら何でも斬ろうとする性格をまずは治したほうがいいと思うが、多分一生かかっても無理な気がする。


魔族の一生がどれくらいか知らないけど。


やはりここは発想の転換が必要だ。


斬られる前にバラバラなる‥


この斬られるってのが前提なのがダメなのだ。


だから、斬れない人形を作ればいい。


硬い物はダメだ。

どれだけ魔力回路を使って硬度を増そうとも、リルは斬ってしまうに違いない。


それなら柔らかい物であればどうだろう?


空中に浮遊している柔らかい布を斬るなんて、無理に決まっている。


布に人工核を包むようにして入れ込む。

そして魔力回路を這わせて、宙に浮くようにする。


よし。

これで対リル用の人形の完成だ。


そう思った時に背後に気配を感じた。

振り返ると何故かリルが立っていた‥








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