第758話
だばだばと女神の皿にタルタルソースをひと樽ほど流し込んだ。
女神は満足したのか、二、三度軽く光った後に大人しくなった。
まったく‥
今度から教会には近寄らないようにしよう‥
まあ戦争は続けるから、食材が揃ったらちゃんと来るけどな!
(ピコーンッ)
『模倣スキルのレベルが上がりました。スキル【スードゥクリエイター】のレベル上限が解放されました。』
は?
ちょ、ちょっと待て!
意味がわからんぞ!
【スードゥクリエイター】はレベル上限が設定されていたのか?
確かにどれだけ人形を作っても金属を扱えるようにはならなかったけど‥
【異世界の知識】があれば【スードゥクリエイター】で様々な物が作れると思い頑張ってレベル上げたんだけど‥?
何を意図してレベル上限なんてつけてたんだ‥?
俺は女神像を見るが、喋る事ができない女神像は返事をしてくれない。
俺の憶測にはなるが、確かに【スードゥクリエイター】で金属まで扱う事ができてしまったら、世界を変えてしまうような物を作り出すかもしれない。
俺が果たして、それを使い何をするか見極めたかったのかもしれない‥
しかし‥
どんな大層な理由があったとしても、タルタルソースでオッケーするか?
どんだけなんだよタルタルソース‥
それともタルタル戦争を回避したかったのか?
確かにありがたい。
ありがたいが‥
腑に落ちないのはなんでなんだろうな‥
まあ今度スキルを試してみて、感謝の気持ちを持つ事が出来たら、ちょっといい料理でも作ってきてやるとしよう。
「うわっ!女神様がまた光りました!」
いや、もういいっちゅうねん!
「それでキリーエ。言っていた王様の居場所ってのはどこになるんだ?」
女神像の発光が大人しくなったので、話を進めることにした。
まだイェルンさんは女神像の前で膝ついてお祈りしてるけど‥
まあイェルンさんについては許容できるが、クィリーノさんは何してんの?
膝どころか、全身床に伏せちゃってるけど‥
それって五体投地どころか、もう寝てないですかね?
「マルコイさんはプリカに鉱山があるのは知っとる?」
「は?」
「そやね、普通は知らへんと思うわ。でも商人の間では有名なんやけど、プリカには鉱山があるらしいんよ。そこで採取した鉱物で武器を作ってるみたいなんや。」
確かに国の中に鉱山があるなら、採取から生産までのスピードが早いだろうな。
「でもなんで公開してないんだ?別にたかが鉱山だろ?人手もいるだろうし、それを宣伝したら人も来るから物流なんかも潤うんじゃないのか?」
「うちもそう思うんやけど‥噂やけど、けっこう貴重な鉱物なんかが出るらしくて、秘密裏にしてるみたいなんやて。」
なるほど‥
でもあの王様がそれを了承するだろうか‥?
あの人だったら公開しそうだけど意外だな。
「それに、その鉱山は地下にあるみたいである貴族が単独で持ってるって噂や。」
「それじゃあ王様は?」
「おそらく知ってはいたけど、手を出せない状況やったんやないかな?無理矢理調べるわけにもいかんやったと思うし。」
なるほどな。
確かに王様とはいえ、憶測で勝手に貴族の所有するものを調べるわけにはいかないだろうな‥
「しかしそれが今回の件と何の関係があるんだ?」
「それがやね。その地下鉱山はモンスターも出るみたいなんよ。それで冒険者ギルドに指名依頼を出して秘密を守る事を条件に、高報酬でモンスター討伐をさせてたみたいやわ。それにもしバレたとしても冒険者の戯言で済ませる事ができるさかい。」
「秘密にすると言っても公然の秘密って感じだな。」
「そやから、ギルドマスターはその鉱山の場所を知ってたんよ。」
もしかして‥
「地下鉱山の持ち主はヨエクで、王様はその地下鉱山に潜伏してるみたいやわ。」
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