第760話
「なにかいやなかんじ。」
リルがそう呟いたかと思ったら、俺の目の前に浮かんでいた木偶人形『ふらっと君』が真っ二つに斬り裂かれた。
「ふぁっ!」
え?
うそ、こいつひらひらしてる布を斬りやがった!
「ふん、せいばい。」
めっちゃドヤ顔してやがる‥
リルは抜刀していた片身の剣を鞘に納める。
その剣は俺が作ってリルに渡した物だった。
異世界の知識を元にして作り出した『日本刀』と呼ばれる物だ。
リルに簡単に作ったらあげると約束していたが、素材となる玉鋼を精錬するための「折り返し鍛錬」、刀の形を作り上げる「素延べ」や「火造り」(ひづくり)、刃文と反りを決定付ける「焼き入れ」、そして形を整える「鍛冶押」などこちらで作っていた剣とは違う工程が多々あって苦労した。
異世界の知識にあったものだから、勇者たちの誰かが作った事があるのかもしれないと尋ねたら、あやめが異世界に行く準備として勉強していただけらしい‥
あやめらしいと言えばあやめらしいが‥
だが今まで使っていた剣とは使い勝手が違い、リルも渡した当初は扱いに苦労していたような気がする。
小柄なリルでも重たい一撃を繰り出せるように、先重心にしていた事もあり、刀を思い通りに振るえなかった。
しばらくは安眠できると思っていたのだが、いつの間にこんな芸当が出来る様になったのかね?
それに俺がリュストゥングを倒した時に使った未完成の居合いではなく、日本刀のそりを使った完璧な居合いだった。
俺が作った『ふらっと君』が無惨にも地面に落ちている‥
「ふっ。またむだなものをきってしまった‥」
お前はどこでそんな言葉を覚えてきてるんだ‥
俺とリルの戦いはまだまだ続くようだ‥
てか、俺のやってる事ってリルを強くしてるんじゃないだろうか‥?
「だとうマルコイ。」
ドヤ顔で言ってくるリルに、もっと強い木偶人形を作る事を心に誓うのだった‥
まあリル退治は今後の課題として、スキル【スードゥクリエイター】ですよ。
思ってた通り、一体人形を作ったらレベルが上がった。
それにより金属を使用した人形や魔道具を作る事が可能となった。
夜までの短い時間でキリーエの武器を作る。
ただでさえ短い時間がリルのせいで、さらに短くなったからな。
隠密ができて、空間把握もできる。
そんなキリーエこそ、ここプリカで作られている銃を持つべきじゃないだろうか。
まあ元が商人だから、あくまで自衛の手段として持ってもらうんだけどね。
あ、元じゃなかった今も商人だった。
俺は『スペース』から保管していた銃を取り出す。
それを見本にして【スードゥクリエイター】を使って鉄のインゴットを操作する。
手で触れて、自分が伸ばしたい方向に魔力を込めるとインゴットの形状が変化する。
流石に金属の精製は魔力を使うな‥
しばらく時間をかけて、プリカの衛兵が持っていた銃と同じ物を作った。
これがここで主流で使われている銃になる。
ここからどうもっと強力な物を作るかだな‥
衛兵から奪った‥‥いただいた銃は1つは暴発して壊れてしまっている。
使っている鉄が粗悪品だったのか、火薬の熱で鉄が変形している‥
俺が作った銃ならそんな事はないが‥
あ!
熱で変形しないような物を作れば、もっと火薬の量を増やしてもいいんじゃないか?
俺はキリーエから貰ったオリハルコンのインゴットを掴む。
オリハルコンの融点は鉄なんかよりも遥かに高いんじゃないのか?
俺はエンチャント:穿つ者を発動して指先に高温の炎の弾を作る。
それをオリハルコンに近づける。
鉄であればドロドロに溶けている温度でも、オリハルコンはその形状を全く変化させていない。
これなら‥
俺はオリハルコンを使い、銃身、撃鉄と火薬の爆発が当たる箇所を作り出していく。
あとは弾数だが、それはボヤンさんが使っていた武器をベースに異世界の知識に頼るとしよう。
弾を装填する回転弾倉をオリハルコンで作り出す。
さすがオリハルコン。
錬成するのに俺の魔力をどんどんと持っていく。
しばらくして俺の手の中には、膨大な魔力と引き換えに作り出した一丁の回転式拳銃が収まっていた‥
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