第848話
「マルコイさん!」
「んあっ!」
急に声をかけられて変な声が出てしまった。
声をかけられた方を見るとキリーエが手招きしていた。
「どうしたキリーエ?」
「マルコイさん‥驚き方変やな。」
「ほっといて!」
驚く方は悪くない。
驚かす方が悪いのだ。
「マルコイさん見てや、プリカの街を。」
俺は街を見やる。
さっきまで見て回っていたが、至る所で建物の建設が行われている。
アキーエ大災害にあった街は、新しい街に生まれ変わろうとしている。
「こんなにもホット商会の印がついた店がようけ建ちよるよ。ほんまにヨエクがやった事は許せへん事やったけど、ホット商会が出来る事があってほんまによかったわ。」
え〜っと‥
大部分壊したのはアキーエさんなんですけど‥
そして直すついでにホット商会にしてしまうなんて、ぼほ侵略者なんですけど‥
「マルコイさん!うちはこの街が活気付くためには、この街の特産品が必要やと思うんよ!」
と、突然ですね。
「そ、そうなのかな‥?」
「そうや!新たな国として出発するためには、国が潤う必要がある!そのためには他の国にないような素晴らしい物が必要やと思うんよ。うちも考えているんやけど、ドワーフの国やさかいお酒が1番なんやろうけど、それやったら獣人国で作ってるから特産品にはならへんのよ。それにこの国はエールに使ってる麦以外は家畜用の米しかあらへん。米を主食で商店街は展開していくんやけど、目玉になるやつがないんよ‥」
ふ〜ん。
まあドワーフの国だからな。
お酒は作ってるんだろうけど、エールが基本なんだな。
あとは王城で出してあったけど、葡萄酒があるくらいか。
そうだな‥
米はあるのか‥
あ!
そういえば米で造れるお酒があるよな。
「ほんま!?それやったら今ある米でも出来るとちゃうかな!?」
いや、ちょっと待て。
俺は絶対今口に出してないはずだぞ‥
「俺まだ何も言ってないよね‥?」
「マルコイさんの顔に書いてあるんや!」
なんですと!?
か、顔が映るやつがどこかにないだろうか‥
「ウソやウソ。マルコイさんに前もらったスキル【獣化】のおかげや。それで相手の表情や匂いで思ってる事が少しわかるだけや。」
は?
確かにスキルを渡したが、スキル【獣化】って耳と尻尾が生えるくらいじゃなかったのか?
「スキル獣化は慣れたら耳は出さなくて済むんよ。尻尾は出てしまうんやけど、尻尾くらいやったら気づかれないんやけどね。スキル自体は匂いや、相手の感情を察しやすくなるんやけど、あとはうちが持ってた【感覚強化】と相まって何となく相手の事がわかる感じなんよ。」
な、なるほど。
それで俺の考えてる事が‥
いや待て。
スキル【獣化】を渡す前から考え読まれてなかったかな‥?
う〜む‥
今度アキーエに顔に出てるか見てもらう事にしよう‥
「それでマルコイさん!米で造れるお酒ってどんなのなん?」
「そうだな。正人たちが来たニホンってところで造ってるお酒で『ニホン酒』って名前のお酒だ。アルコール度数も高いし、ドワーフたちも喜ぶんじゃないかな?」
「ニホン酒‥そやったら、ここで初めて造るお酒になるから、『プリカ酒』にでもしたらええね。」
まあ確かにそうだな。
『ニホン酒』なんて名前にしてもピンとくるのは正人たちだけだろうし。
「作り方は米と米麹と水を原料とし、アルコール発酵させるみたいだ。アルコール発酵は糖分をアルコールに変えて炭酸ガスを発生させることなんだけど、米には糖分が含まれてないから発酵ができないんだ。それで麹を使い、麹の酵素によって米のデンプンを糖分に変えて酵母の力でアルコール発酵をするみたいなんだ。それをすることで高アルコールの醸造酒ができるんだと。」
「ふむふむ。」
そのペンと紙はどこから出てきた‥
あ、そうでした。
キリーエさんは【ボックス】持ちでしたね。
ただ、俺の目にも見えない速度で取り出すのはどうなんだと思ってしまうのだが‥
「一応エールとかと一緒で醸造酒みたいだけどね。昔は『口噛み酒』なんてのもあったみたいで、雑穀とかでんぷんを含んだ植物を口で噛み、つぼの中に吐き出して造ってたんだってさ。」
そう言ってキリーエを見ると、何故かキリーエが固まっている‥
なんで‥
はっ!
ま、まさか!
今言った『口噛み酒』の事か?
もしかしてメンバーがみんな可愛いから、付加価値をつけて売り出そうとし‥
「それってマルコイさんがやったら『タルタル神酒』になるんとちゃう?」
なんで俺やねん‥
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