第4話

村にあるギルドは、二階建てではあるがこじんまりとしており、昼前ということもあり閑散としていた。


ギルド受付のナーシャさんの下へ向かう。ギルドに入るのは初めてだが、ナーシャさんの事は知っていた。茶髪のボブカットで知的な美人さんである。ギルドの外で会うこともあり、会うたびに目の保養といい匂いで元気をいただいていた。


なんて事を考えていると腹にぼでーが刺さった‥

「鼻の下が床に着くくらい伸びてるわよっ!」どうやら鼻の下が伸びていたようだ。


うむ、痛い。半端なく痛い。確かアキーエはスキル【腕力】は持っていなかったはずだが‥


いや、もしかしたら言わないだけで、スキル【察知】【腕力】をも持っているクアドラプルなのかもしれない‥



なんて事を考えているとナーシャさんから声がかかった。


「あら?マルコイ君にアキーエちゃん、今日はどうしたのかしら?」

「今日はマルコイと冒険者登録をしにきたのっ!」


アキーエが平な胸をそらしてそう言った。

そう思った瞬間、殺気を感じお腹を丸めるような動きをとる。すると腹の前をアキーエの剛腕が通り過ぎる。

(躱せたっ!)

するとアキーエの身体が8の字を書くように動く。そして反動をつけた逆の剛腕がぼでーに突き刺さる。


膝から崩れ落ちる俺をみてナーシャさんは

「ほら、ギルドでイチャつかないの!」

「イ、イチャついたりしてないわよっ!」


多分アキーエはスキル【拳士】のスキルも持っているクインティプルだなと思っていると


「それじゃ、登録前にスキルを教えて。」と聞き取りをしてきた。


「私のスキルは【属性魔法:火】と【判別】よ!」「あら!アキーエちゃんはダブルなのね。将来高名な冒険者になるかもね。じゃあマルコイ君は?」


「俺は【模倣】だよ。」と伝えると、ナーシャさんがやや興奮気味に聞いてくる。


「マルコイ君!初めて聞くスキルだわ。どんなスキルが発現するの?」と身体を乗り出して聞いてきた。


「‥‥‥ない」

「え?」

「まだ発現していないから、わからない‥」

「え?じゃあ‥今はスキルなしってこと?」


するとナーシャさんが難しい顔をする。

「スキルなしなの‥ちょっと待ってて」


ナーシャさんは席を外し、奥の方へ入って行った。



しばらくしてナーシャさんは初老の男性と一緒に戻ってきた。


「マルコイ、スキルが発現していないなら、冒険者稼業でやっていけるか俺が直接確認してやる」


ガチムチモンスターのギルドマスターであるギバスが開口一番そう告げるのだった。

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