第5話

ガチムチに引き摺られるようにギルドの練習場に連れて来られる。



「さてマルコイ、好きな武器をとれ。」

「なんでだよ?冒険者になるのは自由だろ?こんな試験みたいな事するなんで聞いてないぞ。」

「まぁ確かに冒険者になるのに試験は必要ない。しかし冒険者になるほとんどの者は何らかの攻撃スキルなり補助スキルを持っている。それを持っていないお前が危ない目にあうのは友人であり、お前の父親でもあるマージスに申し訳ない。」

「なんだよ、父上は関係ないだろっ!」



マルコイの父、マージス・アンバーエストはカーロッタ村を治める男爵である。

スキル【模倣】を得たときこそ喜んでくれたが、発現しないとわかるとあきらかに落胆した様子だった。だからといって冷遇するわけでもなくそれまで通り接してくれたので見返してやる〜や、ざまぁなどは考えていない。

ただそんなに大きな村でもないので、男爵家の三男が将来が決まっているわけでもなく、何をしようが自由みたいな感じではある。



「確かにお前は関係ないと思うだろうが、それでも友人の子だ。実力もわからないまま冒険者にする訳にはいかん。」

「わかったよ、おっさんとやればいいんだろ!俺も家で剣は習ってたんだ。実力見せてやるよ。」

マルコイは木剣を手に取る。



「よし、まずは軽めに行くぞ。」

そう言ってギバスは木剣を上段から振り下ろす。




はい、木剣は見えませんでした。




「ちょ、ちょっと待ってくれ。これ死ぬんじゃないかな‥?」

「大丈夫だっ!当たりどころが悪くないなら、人はそうそう死ぬもんじゃない。」

「ちょ、それって悪かったら死ぬってことじゃんか。」

「そうとも言うな」

しばらくマルコイの悲鳴が聞こえ、試験は終了した。



ボコボコのマルコイにギバスは

「基礎ができているから、多少鍛えればモノになるだろう。今日から毎日訓練すれば一月もすれば合格できるぞ。」




あれから1ヶ月頑張った‥

気絶して起きたら、アキーエが膝枕をしてくれていたので、嬉しくてアキーエの身体のを方を向いてグリグリしたら腹にぼでーが入って亡くなった祖父に会えたりなんて事もあった。




そして今日晴れて俺は冒険者になった。

アキーエと2人でギルドカードを貰い互いに見せ合った。



マルコイ

冒険者ランクE

スキル【模倣Lv.1】


アキーエ

冒険者ランクE

スキル【属性魔法:火Lv.3】【判別Lv.2】



「よしっ!これから2人で頑張っていこうぜ!」

「任せといて!私の【属性魔法:火】でモンスターなんて焼き尽くしてやるわっ!」

まったく頼もしい限りだ、俺の幼馴染は。



(ピコーンッ!)

突然頭の中にかる〜い音が鳴り響いた。



『模倣スキルを発現しました。【属性魔法:火】を模倣しました』




「はい?」

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