第640話
戦いが始まった。
一騎討ちで士気の下がった帝国に対し、俺の活躍で士気を鼓舞された神聖国。
俺の事が誰かわからず困惑していたが、得体の知れない奴でも味方だと思うと心強いのだろう。
例えそれが真っ黒な奴だったとしても‥
今度は色を入れてみようかな。
あとマントとか。
そして戦いが始まって、俺が何をしているかというと‥
馬に乗っていた。
馬は落ちたら痛そうだから乗らなかったのだが、筋肉を乗せていた馬に気に入られてしまい、俺が乗るまで動こうとしなかったので仕方なく乗ることにした。
多分筋肉のような重量級に乗られて苦しんでいたところを救ったからだろうか‥?
それと馬に乗ってみてわかった事がある。
馬って快適だね。
お尻は痛いけど、目線が高いし何より速い。
多分普通に乗ると難しいんだろうけど、馬が気をつかってるのか随分と乗りやすい。
頭のいい馬だな。
お前の事を赤毛からとって赤王号と名付けてやろう。
俺は赤王号に乗ってみんなの所に戻った。
「マルコイさん‥何やってるの?」
クワイスが呆れた顔で声をかけてきた。
「馬の快適さを感じているんだよ。馬っていいね。」
「馬は確かにいいよ。でも今じゃなくても‥戦い始まったみたいだぞ。」
あ、そうだった。
両軍がぶつかっている。
やや神聖国が優勢かな。
士気が高いのもあるが、結構な数強い人がいる。
あれなら俺が出なくても一騎討ち勝てたんじゃないかな?
まあでも必要だったのは圧倒的な勝利だったのであれでよかったと思うけど。
あの強い人たちがグルンデルさんが言ってた俺が作った魔道具を持ってる人たちかな?
確かに俺が作った魔道具を活用して戦っている。
剣身から火が出る魔道具だったり、速い動きで敵を翻弄している人もいる。
よく覚えてない魔道具もあるなぁ‥
それほど強い魔道具ではなかったんだけど、対人戦ではかなり活躍しているようだ。
適当に作ってすみません。
まだ魔族は動いてないみたいだ‥
それじゃあまずはこちらから仕掛けましょうかね。
「メンセンたちは準備終わってる?」
「ああ。いつでも出れるぞ。」
「そしたら帝国軍の側面から進もう。お互いの魔道具が反応しないように距離は保ってくれよ。それとくれぐれも神聖国側には近寄らないように。あと魔道具の不備や魔族が出てきたら、すぐに羽根人形を装着している者が助け出してやってくれ。もし羽根人形隊だけで救助が難しければ多脚魔道具を装着している者と共同して救助に当たってくれ。」
多分必要ないと思うけど。
ただ魔力切れだけが心配だからな、救助はできる体制にしておかないといけない。
「よし!阿修羅部隊出るぞ!」
むっ!
何かカッコいい名前の部隊になっているな‥
「あ、ラケッツさんはちょっと待って。」
ラケッツさんが死んだ魚の目でこちらを振り返る。
「何でしょうマルコイさん。遺書はクワイスさんに渡しましたから大丈夫ですよ。」
う〜む。
全てを諦めた目をしている‥
でも大丈夫!
君が魔道具使い出したら、ヒャッハーになるのを知ってるからね。
「念の為に、追加で魔道具を渡しておこうと思って。こっちの丸いのは閃光弾とでもいったらいいかな。」
光属性の武器を作る途中で出来た魔道具で、割れると強い光を発する魔道具だ。
実際使ってみたら、しばらく目が見えなくなった‥
スキルで回復させたが、恐ろしい威力だった。
やはり魔道具の実験は他人にさせるのが1番だと再認識したものだ‥
「それとこっちが‥」
俺は閃光弾と同じくらいの掌サイズの四角い魔道具を渡す。
「対魔族用の武器だ。魔力を流したら中の光属性の魔力が暴発するから。魔族を見つけた、魔力流した、魔族に投げたで大丈夫。」
ラケッツさんは何故か怪訝な顔をしている。
あれ?
わかりやすく説明したつもりだけど
「マルコイさん‥魔族ってどういう事ですか‥?」
ありゃ?
クワイスから聞いてないのかね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます