第626話

『どっからでもかかってこいアシュラ君』の機能が確認できたので、アシュラ君に関しては量産を行う。


それと同時進行で対魔族の魔道具の試作をおこなっていく。


考えがあると言いはしたが、ぶっちゃけて言ってしまうと、魔族を倒せる魔道具が作れないかってだけだ。


魔族は光属性に極端に弱い。

そのため魔族を倒すには光属性を使えばいい。

使えばいいのだが‥


光属性は勇者しか持つ事がないと言われている属性だ。


光属性を持っているから勇者と呼ばれるのである。


そのため光属性の魔道具を作ろうとしても、そもそも光属性を持つものがいないので付加できないのだ。


光を発する魔道具なら、火を発する魔道具と同じで簡単に作れるのだが、それは光を放つ魔道具であって光属性の魔道具ではない。


難しいものである。

これだと魔族に目潰し程度にしかならない。

まあ面白いから、もっと光量を上げた物を作っておこう。


エルエス兄さんに渡した『ドッカン槍』の時みたいに、正人に魔石に『光矢』のような光属性の魔法を込めてもらう手もあるのだが、これだとエルエス兄さんのように【二重化】みたいなスキルを持っていないと完全な使い捨て武器になってしまう。


まあそれでも爆弾としてなら使えると思うので、今度正人に魔力が切れるまで溜めさせよう。

他の勇者たちは魔石掘りをしてもらうとするかな。


あいつらは魔王討伐のために頑張っているが、仕事をしているわけではなく、ホット商会の支援で生活している。


働かざる者食うべからずだ。


言った言葉が盛大に自分に戻ってきそうな気がするが、決して気にしない。


俺は受け入れているからな。

もし仕事が入ったら頑張らさせてもらいます。



話が逸れてしまったが、光属性の魔道具を作ろうと思考しているのだ。


俺は光属性をイレギュラーながら使う事ができる。


スキル【勇者】を模倣しており、それをエンチャントとして使う事ができる。


そこでエンチャントした光属性を剣に付加しようとしているのだ。


しかし難点があった。


魔力消費が桁違いなのだ。


一本の剣に光属性、それも魔族にダメージを与えられる程の物を付加しようとすると魔力が切れる。


一本作るのに、確実に2〜3回は切れる。


これだと作れはするが、他の魔道具を作れなくなるし何より本番までに数本しかできない。


これだとその数本を持つ人が魔族と相対しなかったら無駄になってしまう。


できればもう少し数を増やしたい。


こればかりはもう少し検討が必要だな‥






あまり根を詰めると耳から汁が出てしまいそうなので、息抜きでみんなの様子を見に行く。


今日もみんな張り切って模擬戦してるなぁ‥


今日は珍しくアキーエとミミウも模擬戦を見学しているようだ。


今は、正人とリルの模擬戦か。

正人がどれくらいリルと戦え‥あ、負けた。


多分リルはスキル【刀纏水姫】を使ってはいないようだが、それでも剣での戦いなら正人では相手にならないようだな。


でも正人には魔王と戦うためにはもっと強くなってもらわないとな。


「よっしゃー!次は俺だ!アレカンドロかかってこいっ!」


お?

ノギス君は今日も打倒アレカンドロですか。


「アレカンドロ今日いない。リルがたたかう。」


「え?いや、リ、リルさんは大丈夫です。えっと‥他の人でお願いします!」


うん。

リルはトラウマのようだ。


そうだ。

このメンバー相手にどこまで戦えるのか、アシュラ君を使ってみよう。


「おーいノギス。ちょっとこれつけてみてくれよ。」


「あ、兄貴。なんすかコレ?」


「俺が作った魔道具だよ。これを装着して戦ってみてくれ。」


不思議そうな顔をしながらも魔道具を背負うノギス。


うんうん。

素直なのはいい事だ。


「それじゃあ正人とあやめ2人一緒に戦ってもらおうかな。」


この2人相手にできるなら、帝国兵の集団の中に入っても大丈夫かな?

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