第625話

「ラケッツに攻撃を入れられるとは思わなかったぜ。しかし凄いな、全く攻撃が通らねえ。」


腹を摩りながらメンセンは驚いた表情で言う。


「攻撃できた‥お、俺がメンセンさんに一撃入れる事ができた!」


「お、おう。その魔道具のおかげだけどな。」


「マルコイさん!これ凄いです!メンセンさんの嵐のような攻撃を全部防いでくれるなんて!こ、これなら俺も勝てる!」


は、はい、そうですね。


ラケッツさんのテンションがもりもり上がっている。

まあ帝国軍でメンセンより強い人なんて、いても数える程度だろうしな。


ラケッツさんもその魔道具つけてたら戦えると思うぞ。


「いきますよ、メンセンさん!」


今度はラケッツさんからメンセンに向かって行った。


メンセンにゆっくりとした攻撃を仕掛けるラケッツさん。


それをあっさりと躱すメンセン。

だが躱した事で、魔道具の空間察知の範囲に入ったようで、すぐにアシュラ君が反応する。


「お、おい!この魔道具攻撃までしてくるのかよ!」


メンセンは突然襲ってきたアシュラ君の腕を体勢を崩しながらも何とか躱す。


しかし体勢を崩したメンセンをみてラケッツが追撃する。


メンセンが体勢を崩したのはラケッツさんの攻撃じゃないから追撃もすぐに行える。


またしても遠慮しているのかと思う程度の速さで攻撃するラケッツさん。


上段から剣を振り下ろしたラケッツさんだが、メンセンに躱された事で前にフラフラと進み出る。


「そんなん喰らうか‥ほげっ!」


ラケッツさんの剣撃を躱して反撃しようとしたメンセンだが、またしてもラケッツさんの背後から襲ってきたアシュラ君の攻撃を喰らう。


なかなかの攻撃力だったのか、地面を転がるメンセン。


「やった‥またメンセンさんに攻撃が当たった!」


いや、君の攻撃じゃないけどね。


「ごほっごほっ‥くっそー。まさかラケッツ相手に地面を舐めさせられるとは思わなかったぜ。」


いや、ラケッツさんの攻撃じゃないけどね。


「マルコイさん!魔道具ってもう一台ないか?俺もその魔道具使わせてくれ。」


実験用に予備でもう1台持って来てはいたけど、装着した同士で戦ってもらうつもりはなかったんだけど‥



面白そうなので採用!



俺は『スペース』からもう1台アシュラ君を取り出し、メンセンに渡す。


「そらメンセン。装着して試してみてくれ。」


「ありがとうマルコイさん。これで負けねえぞ。」


メンセンはアシュラ君に魔力流して起動させる。


「いくぞっ!」


メンセンは木剣を振り上げてラケッツさんに向かって進む。


「うらっ!」


振り上げていた木剣をラケッツさんに向かって振り下ろす!


体重の乗ったメンセンの一撃はアシュラ君によって防がれる。


攻撃をアシュラ君に全部任せているラケッツさんはそのまま反撃に出る。


そのラケッツさんのゆっくりとした剣撃は‥

メンセンが背負っているアシュラ君によって防がれた‥


そしてお互いが空間察知の間合いに入った‥


そしてお互いのアシュラ君が‥


戦いだした‥




そこにあるメンセンのアシュラ君を排除しようと動くラケッツさんのアシュラ君。


それを排除しようと動くメンセンのアシュラ君‥


それが6本腕によって繰り広げられている。



そしてそれは装着者にも影響を及ぼす‥


「ちょ、待てっ!動くな動くな!」


「わあー!背中が!背中がー!」


うむ。

地獄絵図である。


「2人とも魔力を流すのをやめてから、魔道具を切るんだ!そうしないと魔力切れまでずっとそのままだぞ!」


2人は慌てて魔道具を止める。


「はぁはぁはぁ‥」


「も、もうダメだ‥」


その場に座り込むラケッツさん。



ふむ。

実験は‥


成功だな。



使う時は装着した人同士が離れればいいだろ。

これがわかっただけでも、実験を行った意味があるというものだ。


だってお互い魔道具を攻撃しないように登録するのは大変だし‥


防御に関しては素晴らしかったので、敵の集団に装着者を1人で送り込めば問題ないのだ!

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