第171話
ロメントは剣を跳ね上げられた事に驚いた表情を見せる。
剣自体は軽いので弾く事は出来るだろう。
しかし今までそのスピードについて来れるものがおらず、弾かれた事なんてなかったんだろう。
「驚いた。もしかして君が言っていた僕に勝つって言うのは冗談じゃなかったのか?君に対する評価を変えさせてもらう必要があるね。」
まだ冗談だと思ってたのかよ。
「でも僕は強い人に言うことを無理矢理きかせるのも嫌いじゃないんだ。だから‥」
「本気で行こう!」
ロメントは同じように突きを放ってきた。
先程と違うのは、その細剣に水蛇が纏わり付いている。
剣で跳ね上げるとその隙に水蛇が攻撃してくるだろう。
俺はエンチャント:風を利用して間合いを取る。
すると水蛇が俺を追って迫ってきた。
やはり意思を持ったような動きをするな。
しかしそれは悪手だろ。
水蛇の効果を最大限に利用するためにはロメントとの連携が必要になる。
俺は水蛇を斬りつける。
エンチャント:火を使った俺の剣はさして抵抗も受けず水蛇を真っ二つに切り裂く。
ロメントは追撃しようとしていたようだが、驚き足をとめる。
驚いたって事は本気でって言いながらまだ舐めてたって事だよな。
「驚いた。まさか水蛇を切るなんて‥君本当にBランクなのかい?Aランクの冒険者だとしてもそう易々と水蛇を切る事はできないんだけど。」
そうか?
バラックスさんだったら簡単に斬ってしまいそうだぞ。
「本気を出さないならもういい。もう待たないし、こっちから攻撃させてもらう。」
何故かロメントに本気を出してもらいたいと思っている。
自分の今の力がどこまで届いているのか。
ロメントに勝てるような気がする。
それは自分がSランクすら凌駕している事になる。
全力で闘って、それを証明したい。
まぁ多分、なんだかんだ言ってもおもいっきり闘いたいんだな、俺は。
バラックスさんの事を脳筋呼ばわりしていたが、実際は俺も脳筋だったって事か。
バラックスさんの事を笑えないな。
ロメントが本気を出さないなら出さざるを得ないようにするだけだ。
俺はエンチャント:風と土を使う。
スピードを上げて俺はロメントの後ろに回り込むように動く。
流石Sランク、俺のエンチャント:風を使ったスピードが見えているようだな。
回り込んでロメントの方に向かうと、近づく俺にロメントは牽制で突きを放ってきた。
俺はそれに構う事なく突っ込む。
俺を止めるのが目的だったロメントのそれほど力の篭もっていない細剣は、俺の身体に当たると弾かれた。
そして剣が弾かれた事で体勢を少し崩して驚いているロメントに向かって剣を振り下ろす。
ロメントは横に転がりながら剣を躱す。
あれ?
結構必死で躱すな‥
もしかして防御は苦手なのか?
ロメントは転がった事で砂まみれになった自分を見て信じられないような顔をしている。
「この僕が地面を転がって汚れているだと‥信じられない‥これは‥これはいくら君でも許さないよ!」
そう言ってロメントは魔力を練り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます