第119話
お店にはお客さんがいるようで、施術をしている最中だった。
「気功の心は大地の心。大地の力を貴方の中に流します。ほあ〜」
うむ。
ほあ〜じゃない。
怪しい。
10分くらい待つと施術が終わったようだ。
「ではお大事に。」
40代後半くらいの男性が見送りをしにお客と一緒に店の入り口まで来た。
そしてアキーエに気づいて声をかけてくる。
「こんにちはアキーエさん。今日は彼氏と一緒に来られたんですか?」
「やだっ!もうハラオンさん!そんなんじゃないんですって!」
やだ。
この人いい人かもしれない。
「はい。俺がアキーエの彼氏のマルコイです。今日はどうぞよ、うごっ!」
アキーエのローキックが入った。
スキル【格闘士】を得てから随分と強くなったようだな。
足が小鹿のようだぜ。
「今日は彼に気功士としての力を見せてもらえないかって思って。」
「な、なるほど。確かに彼には施術が必要なようだね。特に足に‥」
うん。やっぱりいい人だ‥
「それじゃあこっちに来てもらっていいかな?」
「ありがとうございます。あと変なお願いなんですけど、ハラオンさん何処かのギルドに所属されてないですか?よかったらギルドカードを見せて欲しいんですけど。」
大事な事を忘れていた。
簡単に考えていたけど、ギルドカードを持っていないと模倣ができないんだった。
「ハラオンさんは治療士ギルドに入ってて、そこでギルドカードを発行してもらってるわよ。施術を行うお店は治療士ギルドに入ってないとお店を開けないんだって。」
なるほど。
模倣して欲しいって言うくらいだから、その辺は調べててくれたみたいだな。
「治療士ギルド自体は神聖国にしかないのですが、登録は各国家の役所でできますから。そこでカードを発行してもらうんです。」
ハラオンのギルドカードを見せてもらう。
ハラオン
治療士ランクD
スキル【気功士Lv.4】
「はは。治療士ランクはお布施で上がるんですが、なにぶん稼ぎが少なくてお布施をあまり出来てないんですよ。」
恵たちに聞いた話だと、神聖国は胡散臭そうだからな。
個人的にはあまりお布施なんかしなくていいと思う。
「それでは彼氏さんに施術を行いましょうか?」
「だから違うんですってば〜!」
アキーエは恥ずかしいのか俺をバシバシ叩く。
いや、バシバシなんて可愛い音じゃなくドシドシって音がしている‥
ケホケホ‥
「それじゃこちらに座ってください。」
言われるまま、用意されてある椅子に座る。
後ろからハラオンが両手を翳して力を込める。
すると身体の中に別の力が入ってくる感じがする。
その力は自分の中にある何かを解消して淀みを取っていく。
「どうですか?身体の中の詰まりが解消されていく感じがしませんか?」
「確かに今まで感じたことのない感覚です。何かが洗い流されるような気がする。」
「それは魔力詰まりと言われるものです。魔力を持っている人は誰しもが起こる事で、身体の中を流れる魔力の中で流れに乗れなかったものが、魔力残渣となり身体の中に残るのです。放っておいても身体にそこまで悪影響はないのですが、魔力の威力が落ちたり消費魔力が上がったりと少しずつ障害がでてきます。」
(ピコーンッ!)
『模倣スキルを発現しました。スキル【気功士】を模倣しました』
はぁ〜、ええ気持ちや‥
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