第636話
「リルね‥確かにあいつが殺されるとは思えないか。化け物だったしな。中身さえまともなら十魔に間違いなく入ってただろうしな。」
「剣技だけならね。魔力はあったけど、使える魔法がなかったわ。魔力暴走させて辺り一面爆発させるくらいしかできなかったから。それでもあの『多種族と争いたくない』とか馬鹿げた思想さえなければ魔王様の側近である十魔になってたでしょうね。」
「まあどのみち頭のおかしな奴だったって事だ。ところで対勇者用の秘密兵器君は今回も持ってきてるのか?」
「ええ。帝国の虫ケラが勇者に数で敵わなかった時のために持ってきてるわよ。」
「へえ。でも今回はちゃんと動くのか?前回は勇者にとどめを刺す前に動かなくなったそうだけど?」
「今回は十魔のシームーが一緒に来てるんだから大丈夫でしょ。」
「そう言えばシームーはどこに行ったんだ?」
男は周りを見渡す。
「今は休んでるんじゃない?この前この国の虫ケラどもを大量に思考誘導してたから疲れたんじゃないかしら?」
「はっ!十魔様ともあろうお方が虫ケラの思考誘導で疲れるとはなっ!」
「馬鹿を言うな‥」
扉が開き1人の男が入ってきた。
「あれ?シームー聞こえてたのか?」
「ああ。結界をはってると言っても魔族同士なら意味がない事くらい知っているだろう。まあ部屋の外で様子を窺っている奴らはにはわからないだろうけどな。」
「相変わらずウロウロしてるわね。鬱陶しい‥殺してやろうかしら?」
「まあそう言うな。時期が来れば全て殺していいんだからな。それとエルフの調整は終わったが、侵攻はまだか?」
「今さっきアフアーブの旦那が呼ばれたから、そろそろだと思うぜ。」
「そうか、ようやくか‥」
その時扉が開きアフアーブが入ってきた。
「用意はいいか?行くぞ。」
アフアーブの言葉に部屋にいるすべての魔族が笑みを浮かべた‥
「おいっす!クワイス!」
俺は神聖国に向かって進行しているクワイスたちと合流した。
「マルコイさん。スネタさん達とも合流したぞ。」
クワイスの後ろからスネタさんとエルエス兄さんが出てきた。
「マルコイさん。また2人の共同作業ですね。」
「スネタさん。200数人の共同作業ですよ‥」
周りを見て驚愕の表情を浮かべるスネタさん。
なんだと思ってたんだ逆に‥
「マルコイ、バカはほっといて俺たちはどうすればいいんだ?」
「バカってなによっ!」
スネタさんの大型の鎚がエルエス兄さんの眼の前に振り下ろされる。
「そ、それが‥いや、なんでもない‥」
スネタさんの目が怖かったのね‥
「エルエス兄さん。俺たちは神聖国の騎士団から少し離れた場所に待機しよう。そして魔族やモンスターが登場したら参戦する。」
「それでいいのか?神聖国の騎士団に被害が出るんじゃないか?」
「あくまで国同士の戦いだから、助力はするけどメインは騎士団に戦ってもらう。でも10人程度は『アシュラ君』を装着して相手軍に突っ込んでもらうけど。」
傭兵団にはあまり傷ついてほしくない。
かといって騎士団が傷ついていいわけじゃないけど。
だから相手の戦力を見ながらこちらも戦力を出していこうと思う。
魔族に戦力を残しておかないといけないからな。
「わかった。それじゃあ目的地まで行くとしよう。」
しばらく進み、帝国と神聖国が対面すると思われる場所の近くについた。
両軍の進行具合からいって、この辺でぶつかる筈だ。
「それじゃあここで魔道具を渡したいと思う。」
俺はそう言って、前回も使用した『羽根人形』『多脚魔道具速いぞ君』を出していく。
もちろんスキャンと他数名用のゴーレムもだ。
あとは木偶爆弾も用意するが、神聖国の兵に被害が及ぶとまずいので数量は少なめだ。
「それと1番危険な役目になると思うが、『アシュラ君』を背負って敵軍に突っ込んでもらう人を募集したい。」
俺がそう言うと、数名が手を挙げた。
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