第637話

手を挙げた人数は8名か‥


『アウローラ』から5人、『ガルベスト』から3人。


まあ人数的にはいいんだけど‥


みんな顔は知っているんだけど、名前はわからないような関係だ。


できればとりまとめてくれる人がいるといいけどな。


「メンセン。できればお前がこの部隊の隊長をやってくれないか?」


俺がとりまとめてくれる人が欲しいとわかったのか、クワイスがメンセンを指名して隊長になるよう取り計ってくれた。


「ありがとうクワイス。メンセンがまとめてくれると助かる。よし、これで10人か。最初に考えていた人数になったな。」


「ん?マルコイさん‥9人しかいないみたいだけど‥?」


「え?10人いるじゃん。」


俺は数を数える。

えっと‥

最初に挙手してくれた人が8人で、メンセンとラケッツさんだろ‥


ほら10人いるじゃないか。


「10人いるぞ。最初の8人とメンセンとラケッツさんだろ?」


「マルコイさんっ!俺は手挙げてないです!挙げてないのに何で数に入ってるんすか!」


「え?ラケッツは最初から入ってるよ。それにラケッツは自分は入ってるって思ってたから手を挙げなかったんだろ?」


「何ですか、その前向き発想は!確かに実験に参加しましたが、それだけですよ!別に扱いに優れてるとか何もないっすよ!」


ラケッツさんは何を言ってるんだか‥

スイッチが入ったラケッツさんは強いぞ。


魔道具を装着すればメンセンにも負けてないし、何よりアシュラ君にもう一つの魔道具の爆発鎧君があるじゃないか。


「はぁ‥ラケッツ準備をしろ。」


「そ、そんなぁ‥」


「ラケッツさん大丈夫だ!俺の魔道具を信用してくれ!」


「マルコイさん‥魔道具は信用してます‥でもまた酷い目にあいそうで‥」


「‥‥‥‥‥‥。」


「そこも大丈夫って言ってくださいっ!」


大丈夫と思うけど、ラケッツさんは何かと引き寄せるからなぁ‥


「よし!他の者も準備をしろ!偵察隊が戻ったらすぐに動けるようにしておけ!」


そろそろ戦いが始まる。


俺たちがいる場所は少し高台になっていて、そこから平野が広がっている。

ここなら小細工も出来ず力と力のぶつかり合いになるだろう。


帝国軍と神聖国軍の進軍スピードからここが戦いの場になるだろうと思われる。


魔王と多種族の前哨戦となる一戦が‥







『アウローラ』の偵察隊が戻ってきた。


俺たちが待機している場所から少し離れた場所に帝国の軍が待機している。


帝国軍もここが戦いの場になると思っているようだ。


神聖国の騎士団が来ると思われる方向に砂塵が上がっている。


いよいよ両軍の対面か‥




両軍共に平野で向かい合う形で待機している。


俺は神聖国の元に向かい、神聖国の騎士団長に話をしに行く。


このまま行くと、俺の顔がバレるのでちょっと小細工。


「『装着』」


腕輪に声をかけると、魔道具が発動する。


俺の身体を黒い布が覆う。


この間は全身タイツのようになったので、今度はゆったりとした布にしている。

それによって黒い服を着ているように見える。


一応アキーエに承認してもらうまで、何度か作り直したので大丈夫だろ。


そして頭部については少しデザインしていて作り的にはバシネットに近い。


顔の部分は目を開けた布で覆っているような形だが。


これなら多少目立ったとしても俺とわかることはないだろう。


ちなみに共同製作者の卓に見せたところ、「ふぉー!か、カッコいいです!闇からの使者感が半端ないですっ!さ、さすが師匠!」と言っていた。


後ろの方であやめが「中二病どもめ‥」とか言っていた。

何の事かわからないが、褒め言葉なんだろう‥



変装が済んだので、神聖国軍に近寄る。


「な、何奴だ!怪しい出で立ちの奴め!」


怪しいとは失礼だな。


「俺はイコルから神聖国に助力するように言われてきた者だ。騎士団長に話がある。」

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