第638話
「我が軍に助力?確か聖王様がそのような事を言っていたような気がするが‥少しお待ちいただいてよろしいでしょうか。」
声をかけたのが少し役職が上の人だったのか、すんなり話が通った。
グルンデルさんが通達してくれててよかった。
普通だったらこんな怪しいやつの話聞かないもんな。
イコルの姿の方がよかった気がするけど、あまりイコルの姿でウロウロするのもな。
マルコイの姿の時にもしグルンデルさんに呼ばれたらすぐに来れないし、何よりイコルがあまり活躍すると後々動きにくそうだしな。
すると先程声をかけた人に連れられて、男性がやってきた。
「君が聖王様の言っていた協力者かい?」
男性は鍛え上げられた肉体だが無駄な筋肉はなく、しなやかな体つきをしている。
「はい。聖王様にもお伝えしていますが、人数はそれほど多くないので遊撃隊と思っていただいた方がいいと思います。それとこちらは魔道具を使用します。扱いが難しい少し危険な魔道具なので、装着者には近寄らないように通達をお願いします。」
「自分達の身を顧みず、そんな危険な魔道具をこの戦いのために‥ありがたい‥」
いえ、危ないのは装着者じゃなくて近くにいる人たちです。
敵味方関係なく、たとえ神聖国の騎士でもぶっ飛ばすような魔道具ですので近寄らないようにお願いします。
「わかりました。この騎士団を任せられているガーノスの名において、魔道具を装着している方達には近寄らぬよう指示しておきます。」
ありがたい。
これでアシュラ君が本領発揮できると言う物だ。
「それでは自分たちは本陣より少し離れた場‥」
「やあやあ!我こそは帝国軍の部隊長のプノールと申す!神聖国の騎士よ、我は一騎討ちを所望いたす!我こそはという者はおらんか!神聖国の騎士には一騎討ちに応えるような気骨のあるような者はおらぬとは思うがなっ!」
帝国軍の中から馬に乗ったゴリマッチョが出てきた。
馬に乗った筋肉だなあれは。
しかし喋る筋肉だけあって、1人では持つ事すら難しそうな大剣を振り回している。
「くそっ!ふざけてるな。副団長!俺が行ってくる!俺がいない間はお前が軍を率いてくれ。」
おいおい。
熱くなってますね。
普段は冷静な判断ができる人だったとしても、この戦場という特殊な環境下では判断を誤りそうだな。
「ガーノスさん。よかったら自分に行かせてもらえませんか?」
「え?そんな‥一騎討ちなんて危険な事を協力者である貴方にさせるわけにはいきません。それに相手はかなりの武力自慢でしょう。こちらもそれ相応な者を出さなければ士気が下がってしまいます。」
「それはわかってます。その上で自分が行くと言ってるんですよ。それに一緒に戦う者の力を見たほうがいいでしょう。」
「それは‥‥‥しかし本当に大丈夫なんですか?」
「任せてください。筋肉の扱いには慣れてますからね。」
俺はそう言って、両軍の間でウロウロしている筋肉の元に向かった。
「がっはっは!やはり神聖国は騎士団も聖王と一緒で腰抜けだな!こちらが攻めたら慌てて逃げ出す。これから戦いが始まったら、散り散りに逃げ出すのではないか?」
相変わらず馬上で筋肉が喋り続けている。
しかしこの筋肉はよく喋るな。
基本的に筋肉は頭の中も筋肉だから喋りは上手くないんだけど‥
「それじゃあ腰抜けどもよ!一騎討ちは俺の‥‥なんだ貴様は?まさか一騎討ちに来たわけではあるまいな?」
「そのまさかだよ。」
「がっはっは!神聖国は腰抜けどころかもう負けを認めているようだな!馬にも乗っていない、こんなヒョロヒョロの男を生贄に送り出すとは!笑いが止まらんわ!」
失礼な奴だな。
馬は乗りたくても乗れないんだよ。
落ちたら痛そうじゃないか‥
まあいいや。
馬に乗れる事が大事じゃないし。
さてと‥
それじゃあ後ろの方で見てるだろうから、魔族の奴らに宣戦布告と行きましょうかね!
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