第501話
いいねいいね。
やっぱり雰囲気あるな。
会話をする事ができるモンスター。
今までモンスターで会話ができるような知性のあるモンスターはいないって言われてきた。
それなのになんと!
ここで話をするモンスターが現れたら、魔族やモンスターは滅ぼすものと教義している神聖国の騎士は驚くだろうな。
やはり騎士の1人が必死に問いかけている。
君が話しかけている事実がモンスターが会話をしているという証明になるのではないのかね?
ふふふふふ。
残念ながらモンスターはその問いに答える事はしない。
それに正確にはモンスターじゃないしな。
その人形は声を出す事だけに俺が心血を注いだ木偶人形だ。
人形の口の中に筋肉の代わりとなる木造の声帯筋をつくり、外側を粘膜代わりにゴムで覆った。
そして魔道具で体内で風を作り、振動させて音を発する事が出来た。
すべて異世界の知識があったから出来た事だ。
声帯から口までの間に魔力回路を設置し、音を共鳴させ修飾させる事で声として発している。
でも魔力回路は2種類しかないから同じ事しか言えないし、問いに答えれるはずがない。
それにはっきり言って戦闘向きではない。
多分あやめの一撃で破壊されてしまうくらいに脆い。
腕を増やしたのは、単なる威嚇である。
もちろん仕掛けは、このモンスターだけじゃないけどね。
「ようこそ真実の部屋へ。ここでは貴方たちの仲間への想いを確認させてもらう。相手を信じる事ができれば次への道が開かれるだろう。」
モンスターは同じ言葉を再度発した。
痺れを切らした騎士が人形に斬りかかる。
人は認めたくないものがあると、攻撃的になるよな。
でもね。
残念ながらそれ以上近寄らせない。
騎士と人形の間に、壁が競り上がる。
もちろんただの壁ではなく、四面全てが鏡となっている。
戸惑う騎士を置いて、次々と壁が迫り上がってくる。
神聖国の騎士たちと正人、あやめをそれぞれ分断させた。
騎士は数人一緒のところもあるけど、あいつらはどうでもいい。
それに別でお楽しみがあるからな。
ようこそ、ミラーワールドへ。
さてさて脱出できるかな?
異世界の遊園地という物の中に入っている遊技場と同じような作りになっている。
しかしそれよりも遥かに多い鏡に、不規則な鏡の配置でより脱出困難になっている。
俺はスライムの身体を利用して天井にくっつく。
天井は少し高くしてあり、上からだと全員の位置や状況が確認できる。
この位置からすると、神聖国の騎士で1番偉そうにしてた奴が最初に遭遇するようだな。
俺の新たな木偶人形『影法師』に。
この『影法師』だが、まず俺のスキル【スードウクリエイター】で人型の人形を作る。
その後にスキル【デバイスメイキング】で肌の質感に近い布や、髪の毛に近い糸を作り出す。
それらを木偶人形に縫い縫いして、取り付ける。
人の顔や体型は【スードウクリエイター】であれば、その人の顔や体型さえ覚えておけば、かなりの完成度で本人そっくりの人形が作れる。
それに肌や髪、洋服や装備をつけたら割と近くからでもほぼ見分けがつかない。
触ったり、よく見たら瞬きしてなかったりとかよく見るとわかるとは思うけど、今はそれで構わない。
だって、この『影法師』はミラーワールドで遊んでいる人たちにちょっかい出すために作った物だからな。
上手い具合に勇者たちと神聖国の騎士がバラけたので、さっそく騎士に向けて勇者の『影法師』を投入する。
「おお!あやめ様ご無事でしたか。しかし奇妙な事になりましたな。この壁を破壊して進みたいところですが、硬くて壊せませんでした。遺跡の思惑通りになるのは癪ですが、出口を探しましょう。」
神聖国の騎士で1番偉そうなやつの所にあやめの『影法師』を送り込んだ。
何も考えずに近寄ってくる騎士に対して『影法師』が手に持った剣で騎士を攻撃した。
あんまりザックリいくと拙いので、軽症で済む程度でサックリと斬りつける。
今後ミラーワールドで遊ぶときには木刀とかにしたらいいかな。
偉そうな騎士は自分の傷とあやめを交互に見ている。
更に『影法師』は攻撃を仕掛ける。
「くっ!あやめ様、気でも狂いましたか?」
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