第234話
「どっちにしろマルコイと闘いたいなら、わたしを倒してからにしないさい。」
アキーエはプルプルしている。
それこそカーロッタで初めて戦ったスライム並にプルプルしている‥
なんか怒りで変身しそうだ。
俺の方はアキーエが怒ってるから冷静になってしまった。
でもあそこまで怒らなくてもよさそうな‥
「アキーエちゃん、マルコイさんが馬鹿にされたのが相当頭にきたみたいやね。」
キリーエが俺の耳元でそう言ってくる。
「そ、そんなんじゃないわよ!ただマルコイが馬鹿にされると、わたしたちも馬鹿にされた気がしただけよ!」
アキーエさんの顔が真っ赤になってる。
そっかそっか。
「マルコイなにニマニマしてるのよっ!」
「ニマニマしてたか?いや嬉しくてな。」
「ふんっ!」
ふふ。
アキーエの肘打ちも心地よい。
俺は膝から崩れ落ちながらそう思った。
庭に移動して模擬戦の準備を始める。
「アキーエはガントレットはいいのか?」
俺は何故か脚に力が入らず立ち上がれないので、横になったままそうアキーエに尋ねる。
「ん?別にいいわよ。ガントレットなんてつけてたら、それこそ相手丸焦げにしちゃうかもしれないし。」
ルーベストの装備は動きやすいライトアーマーにロングソードを持っている。
対してさしたる準備もしないままアキーエはルーベストを呼ぶ。
「さ、いいわよ。遠慮なくかかってきなさい。」
するとルーベストは何も装備せず自分の相手をしようとしているアキーエに対して苛立っているようだ。
「随分と余裕だな。せいぜい負けた後に言い訳するがいいさ。あの時は武器も防具も持ってなかったからってよ。その代わり俺がアイツは俺の靴を舐めて命乞いしたぞって言ってやるからよ。」
「わかったからかかってきなさい。負けたら靴でも何でも舐めてやるわよ。」
おお!
「クソがっ!舐めやがって!」
う〜ん。
煽り合戦はアキーエの勝ち。
まあアキーエは煽ってるつもりはないんだろうけどな。
しかしルーベストとやらは煽り耐性なさ過ぎないか?
自分から煽っときながら反対に煽られるとキレるとは‥
今置かれる国防軍とやらの環境がよほど自分たち優位な立場なんだろう。
アルラント王国か‥
ふむ。
アルラント王国の事はよく知らないけど、行きたくない国ランクインという事で。
ルーベストは額に青筋を浮かべながらアキーエに突っ込んでくる。
アキーエは落ち着いた表情だ。
ルーベストは確かに速いが今まで闘った人たちに比べると見劣りとまではいかないが、さして変わりはない。
アキーエは半身の姿勢となり、ルーベストの攻撃を待つ。
ルーベストはロングソードを振りかぶりアキーエ対して上段から攻撃を放つ。
振り下ろされた剣に対してアキーエは剣の腹を拳で軽く弾き軌道を自分から逸らす。
剣を地面に振り下ろしたルーベストに対してアキーエは一歩前に踏み込む。
振りかぶって攻撃する間合いではない。
アキーエはその間合いでルーベストの腹部にそっと拳を当てる。
「ふっ!」
アキーエのゼロ距離からの打撃がルーベストの腹部に炸裂した。
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