第808話

「おい!聞いてるのか!」


「ああ、聞いているぞ。もちろん断るけどな。」


「貴様っ!なら死んで後悔するといい!」


だって君たち渡した所ですんなり帰す気ないでしょうが。




近くにいるヨエク兵が腰から銃をとりだす。


おお、ホルスターまで作ってるのか。

本格的にヨエク兵は銃を標準装備してるみたいだな。


でもこれ以上は支給されないと思うから大切に使わないとね。


ヨエクの鉱山に盗人が入ったらしいから、銃を作るお金がなくなったと思うんだよ。

全くとんでもない事をするやつもいるもんだ。



しかしよく見たらなかなかの人数がいるな。

これが全部銃持ちとなると少し相手をするのが厄介かな。


魔力が少ないので、普通に相手するのも面倒だしなぁ‥


よし。


「わかったわかった。それじゃあこいつを渡すから、しっかりと受け止めてくれ。」


俺はアクセルを思いっきり捻る。


先程と同じように前輪が浮き、後輪だけで走り出す。

そして【時空魔法】でアクセルを全開のまま固定させる。


「うあっ!き、貴様何の真似だ!」


「必殺!無人自動二輪車アタック!」


俺は自動二輪車から飛び降り、その場を離れる。


自動二輪車はものすごい勢いでヨエク兵の中に突っ込んだ。


「ぐわっ!」

「な、なんだこれはっ!止めろ止めろ!」


数人が自動二輪車を止めようと壁を作る。


「ぐはあっ!」


もちろんその数人は吹っ飛ばされる。


ふははは。

その程度の力で俺の無人自動二輪車君を止めれると思うなよ。


アクセル全開にしているから、倒れなかったらどこまでも進んでいくんだぞ。


回収する事を考えてなかったから、どこか適当な所で倒れてくれると助かるんだけど‥


止める事を諦めたのか、ヨエク兵たちが自動二輪車に向かって銃を撃っている。


「な、なんだと!?なぜ効かない!」


効くかそんなもん!


跳弾で仲間を傷つけるだけだぞ。


「ぐわぁっ!う、撃つな!弾が跳ね返るぞ!」


ほら見たことか。


うむ。

素晴らしい、自動二輪車は攻撃としても凄い成果を上げてくれるじゃないか。


「‥‥‥退がれ‥」


ん?

ダリックが自動二輪車の前に出てきた。


バカめ、何を隠し持っているか知らないが、片腕で止めれると思うなよ。


ダリックは失っている腕を自動二輪車の方に向ける。


む‥?


何をするつもりだ‥?



ダリックと自動二輪車の距離が縮まる。


すると突然、ダリックの失っている腕から紫色の巨大な腕が現れた。


その腕が自動二輪車を掴む。


そして捕まえた自動二輪車をそのまま宙に持ち上げた。


くっ!


確かに自動二輪車は地面から離れると、その力を失ってしまう。


そしてダリックは、掴んでいる自動二輪車をそのまま地面に打ちつけた。


「じ、自動二輪車ーーー!」


そ、そんな‥


俺のロマンが‥


地面に横たわる自動二輪車に向けて、何度も紫色の腕が拳を打ち込む。


先程まで軽快に聞こえていたエンジンの音も次第に小さくなり、聞こえなくなった‥


くそっ!

そこまでしなくてもいいじゃないか!


スキルを使って修理する事はできるが、抵抗できないと思って俺の新しい相棒とも言える存在を破壊しやがって!


「ぐぐぐぐ‥言う事聞け!」


ダリックが呻き声のような言葉を発すると、紫色の腕が攻撃を止める。


「‥‥お前は我らをギルドに行かせたくないようだな‥ギルドの関係者か‥?ならば先にお前を尋問してから先に進むとしよう‥」


「お前こそなんださっきの気持ち悪いのは?この国では、なくなった腕の代わりに義手じゃなくてモンスターでも埋め込んでるのか?せめて色は変えた方がいいんじゃないか?見てて気持ち悪いぞ。」


おそらくギルドを襲ったヨエク兵と同じ物だろう。

しかし違うのは衛兵隊長が知らぬ間にモンスターになったのに対して、ダリックは意識して使っていた事だ。


あれだけの耐久力と攻撃性を持った物を意思ある者が使うとなると少し厄介だな‥


「‥‥軽口を叩くな‥‥怖いのか‥?‥安心するがいい‥殺しはしない‥‥」


さてさて、どうしましょうかね‥。







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