第205話

オーガの群れが現れてからずっと感じている物がある。

多分誰かの視線だ。


これだけのモンスターや冒険者がいるので、誰かしら俺たちを見ていても不思議ではない。


しかしその視線は仲間がオーガの上位個体と戦う時にもずっと感じていた。

ねっとりと‥


俺はオーガキングを探すと公言しながら、視線の主を探す。


俺たちも少しは有名になってきた。

だからだと思うのだが、念のために後顧の憂いは断っておきたい。


周辺を見渡すが、みんなオーガを討伐する事に必死で他を見る余裕なんてものはない。


俺の杞憂かと思っていたが1人だけこちらを見つめている人物を発見した。


周りのオーガたちには目もくれず俺たちを見ている。


そんなに俺にムカついたのか?


視線の主は俺が見ている事に気づくと、すっと姿を消した。


心配しなくても闘う機会はあるのだ。

安心して待っていたらいい。







オーガの上位個体をぶっ飛ばしまくっていたアキーエと合流する。


「はぁ〜、すっきりした。大体自分のスキルも把握できたわ。」


素敵な笑顔ですね。

そのうち二つ名が『デストロイヤー』とか『破壊神』とかに変わるんじゃないですかね?


「あとはオーガキングだな。どこにいるんだろうな?もうすでに誰かが戦ってるとか?」


「でも最初にオーガの群れを発見した人はオーガキングを確認したんでしょ?だったらその時は先頭とか、わかるところにいたんじゃないの?」


その時突然冒険者たちと戦っているオーガの動きが止まる。

冒険者たちも突然動きが止まったオーガたちに訝しげな目を向け攻撃する事なく様子を見ている。


するとオーガたちが避けて道を作る。

その奥から1匹のオーガがこちらに向かってきている。


あれがオーガキングか‥

なるほど。

キングの名を冠する者だな。

圧力が半端じゃない。


その姿はブルーオーガに酷似している。

あれは骨格なのか?

オーガの表面の皮膚がまるで鎧のような形状をしている。

そしておそらく冒険者から奪ったであろう大剣を手に携えている。


オーガキングは俺を見ている。

他に視線を向ける事なく俺だけを見ているようだ。


俺が目立って活躍しているなら俺に向かってくるのはわかるのだが、今回はアキーエとミミウが活躍しまくっているので、俺はフォローに回っている。


だからそんなに目立つ動きをしていないのに、俺を狙っているという事は最初から狙いは俺だったのか?


少なくない被害が出ているのは俺のせいだったのだろうか?


「なにぼーっとしてるのよ。よかったじゃない。向こうから姿を見せてくれたんだから。これ以上被害が出る前に片付けてしまいましょ。」


そうだな。

いろいろ考えるところはあるが、これ以上被害を出さないようにオーガキングを討伐しなければな。


「相手の強さがわからないから、アキーエとミミウも手伝ってもらっていいか?」


「いいの?てっきり今度は俺の番だ!みたいに言うかと思ってた。」


君のようなデストロイヤーと一緒にしないでください。


「試合じゃないんだ、パーティで戦って問題ないだろ。闘技会も残ってるしな。ただ俺がメインで戦うからフォローを頼むよ。」


「わかったわ。」「了解ですぅ。」


さてオーガキングを討伐しよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る