第646話

わたしの二つ名もう少し可愛いのじゃなかったからしら?

なんとか天使だった気がするんだけど‥


いつもの間にかマルコイが言ってた爆殺女神とやらが定着している気がする‥

マルコイが帰ってきたら、一度ちゃんとお話する必要があるわね。



イザベラさんに話を聞いたが、プリカが城壁都市とはいえ高ランクモンスター相手ではいつまで持つかわからないとの事だった。


しかし歩いて行くにしても数日かかる。


何かあるかもしれないと警戒はしていたが、まさかいきなり首都が攻められる状況になるとは思ってもいなかった。


「それじゃあみんな準備はいいかしら?私もついて行きたいけど、残念だけどこの街を離れる事ができない。だからみんなにかかってるわ!頼んだわよ。あと無理と思ったらすぐに撤退して。」


「準備はいいが、今から向かって間に合うのか?着いたら首都が陥落してましたじゃ、俺たちも撤退するしかなくなるぞ?」


確かにその通りだ。

今から急いで向かったとしてもギリギリなんじゃないだろうか?


「それは心配しなくていいわ。全員馬車にのってもらう。正確には馬じゃなくてジャイアントボアに引っ張ってもらうけどね。」


ジャイアントボアって体力が尽きるまで走り続けるようなモンスターよね。

確かに馬よりも速いし、体力も1日走り続けたとしても尽きなさそうだけど‥

でもそんな乗り心地の悪い物に乗って向かったら、着いた時は乗ってる人たちは身体中ボロボロになってると思うんだけど‥


「しかしそれじゃあ乗ってる俺たちが着いて戦えない状況だと思うんだが?」


「大丈夫。馬車の乗り心地についてはマルコイちゃんに見てもらって乗りやすく改造してもらってるわ。もしかしたら、こんな状況も予想してたのかもね。」


さすがマルコイ。

でも本当にそこまで予想してたのかしら‥?

面白そうだから改造してみたの方がしっくり来る気がするんだけど‥


「なるほど。マルコイが手を入れたのか‥それなら大丈夫だな。」


バラックスさんがそんな事を言っている。


なんでそんなにマルコイの事信用してるかなぁ‥


わたしもマルコイの事は信用してるけど、マルコイが作る物については信用してないんだけど‥


だってよくマルコイが篭ってる部屋から爆発音がしてるし。

さすがに馬車だから爆発はしないと思うけどね。




「それじゃあ出発するぞ!」


みんな時間に余裕がない事はわかっているので、すぐに馬車に乗り込んだ。


依頼報酬とか聞く人がいるかなと思ったんだけど、誰もそんな人はいなかった。

多分この依頼の難易度に対して割の合った報酬は出ないと思う。

それでも誰も聞かなかった。

多分ここが瀬戸際だって事をみんなわかってるんだろう‥






獣人国を出て、トールルズの国内に差し掛かった。


ジャイアントボア車は、恐ろしい程の速さで走っているが、思ってた以上に中は快適で余計な体力を使わなくてすんでいる。


マルコイのトンデモ発明がこんなに活躍する日が来るとは思わなかった。


変なゴーレムとか作るより、生活必需品の発明した方が世のためになりそうな気がする。


冒険者を引退したら、これで生計を立てていけばいいかな。


ジャイアントボア車はかなり大きな作りになっているけど、一台では、全員が乗らなかったので五台が連なって進んでいる。


一台10名ほど乗っているが、高ランクモンスターと魔族相手に50名程度では心許ない。


それでもやるしかない。


トールルズが落ちてしまったら、次は獣人国だ。

できればトールルズの戦力とわたしたちで侵攻を防ぎたい。


みんな真剣な表情で待機している。


「いや〜、高ランクモンスターですか‥どれくらい強いのか楽しみですなぁ!」


「ミミウは地竜さんが楽しみですぅ!でも他にも美味しそうなモンスターさんがいるかもしれないですぅ!今から楽しみですぅ!」


「魔族‥泣いてもきる‥」


うん‥


みんな真剣‥だよね‥?

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