魔族暗躍

第30話

緊急警報の大きな音が鳴り響く中、マルコイたちは急いでギルドに行くことにした。


「マルコイどうするの?」


アキーエが並走しながら聞いてくる。なぜかあやめたちも一緒に来ているが、とりあえず無視しておこう。


「ギルドに行って状況を確認する。モンスター絡みだったら冒険者に招集がかかるはずだ。もし違ったとしても手伝える事くらいあるだろ。」


ギルドに着くと同じようにたくさんの冒険者たちがギルドに集まって来ていた。

ごった返すギルドの中で見覚えのあるスキンヘッドの人を見つけた。


「ガッツォさん!」


「おうマルコイか。」


「緊急警報の原因は何ですか?モンスター絡みですか?」


するとガッツォさんは頷き


「魔の森からモンスターの氾濫が確認されたらしい。中規模ではあるが、そのまま王都に向かって来ている。王都の騎士団が迎撃に向かっているそうだが、おそらく冒険者にも声がかかるだろう。緊急依頼だ!俺も仲間と合流してから依頼を待つ。マルコイも気を引き締めろよ。」


「わかった。ありがとうガッツォさん!」


ガッツォさんと別れてすぐに受付にサベントさんが出てきた。そして周りを見渡すと、容姿に似合わない大きな声で語り出した。


「冒険者諸君。今回の緊急警報だが、魔の森からモンスターの氾濫が確認された。中規模ではあるがBランクのモンスターも確認されている。もしかしたらそれ以上のモンスターもいるかもしれない。高ランクモンスターには騎士団とBランク以上の冒険者で当たる。CDランクはBランク以下のモンスターに当たる。Eランク冒険者は住民の避難を行って欲しい。以上だっ!」


アキーエたちのところに戻り、2人がどうするか確認をする。


「アキーエとミミウ。どうする?俺たちは王都に来て期間は短いが、俺は微力だとしても力になりたいと思う程度には王都の事を気に入ってる。」


アキーエとミミウは顔を見合わせた後、笑顔を見せる。


「もちろん参加するわよ。」

「参加するですぅ。」


よかった。もちろん参加してくれるだろうとは思っていたけど、2人の意見を尊重したいとは思っていた。

そして一緒にギルドまで来てしまっている2人に声をかける。


「それで恵たちはどうする?このまま俺たちと参加するわけにはいかないだろう?」


恵は少し考えるような顔をして、あやめとどうするのか話をする。


「恵、一旦正人達のところに戻ろう。ガーノスさんとも話をしないと。」


「私としてはこのままマルコイさん達と一緒に活動したい所なんですけどね‥でも勝手をしたら正人君達に迷惑がかかりますよね。」


意見をまとめたのか、恵が此方に顔を向ける。

おどおどした顔じゃなくちゃんと目を見ている。それだけでだいぶ印象が違うな。

勇者パーティの他の2人どうでもよかったが、とりあえず恵とあやめが困っていたら助けたいと思うようにはなっている。

まあ勇者パーティが困るような事態に俺が何かできるとは思えないが。


「このままマルコイさん達を手伝いたいのですが、まずは正人君達と合流してパーティとして動きます。必ず戻ってくるので、待っててくださいね。」


「わかった。気をつけて戻ってくれ。スキルの事とか諸々ありがとうな。」


「はい。マルコイさん達も気をつけて。」


2人と別れ、俺たちはランク別に集まっている場所に歩みを進めた。



ギルドが指示した場所に着くと、赤茶色の髪をマッシュルームカットにしたフルアーマーの男が大きな声を出していた。


「俺はCランクパーティ[マッシュクレイジー]リーダーのノベルタだ。今回の緊急依頼でC.Dランクの指揮官を勤めさせてもらう。よろしく頼む。」


ノベルタの周りには青紫色頭のタワーシールドを持ったタンクっぽい男、黄土色頭の魔法使いっぽい男、黄緑色頭の修道服を着た僧侶っぽい女がいる‥


全員マッシュルームカットで‥


た、確かに狂ったキノコだな。


「俺たちは、騎士団と高ランク冒険者の左翼と右翼に別れる。パーティごとでいいが、できればCとDが同じくらいに別れてくれると助かる。」


俺たちは右翼側に行く事にした。

しばらくするとノベルタの声が聞こえる。


「モンスターは変わらず王都方面に侵攻している。戦場を王都から少し離すために前進する。王都から1キロ程の平野でモンスターを迎え撃つ予定だ。用意はいいか?」


すると500名ほどの騎士団と50名程度の冒険者が進み出す。


「騎士団が敵の中央に進む!俺たちもモンスターを殲滅しながら進むぞ!索敵の出来る者は高ランクモンスターを発見次第、集団中央に配置している腕に赤い布を巻いた騎士に報告せよ!では前進っ!」


騎士団500名、冒険者250名程度の総勢750名ほどで中規模モンスター2000体ほどの殲滅に動き出す。


マルコイたちは、はじめての大規模戦闘に足を進めるのだった。

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