第564話

木や岩などに対しても、斬るべき箇所が見えるってことか。


それに剣を添わせると、ピザを置いていたテーブルみたいに綺麗に真っ二つってわけなんだな。


人に対しても相手の弱い箇所を見る事ができる。


うん‥

こわっ!


ここが斬れるよ!ってサポートしてくれるわけなんだよな。


リルみたいに剣士として特化している人が持ってたら、それこそ最強だな。


そりゃいろんなやつに仲間しようと画策されるわけだ。

しかしそれを全て拒否したがために、洗脳されたわけか‥


多分リルの言うおじいちゃんってのもかなり魔族じゃ有名だったんじゃないだろうか‥


「リル。その【魔眼】ってのはいつも見えるのか?それとも意識したら見えるのか?」


「フシャーッ!」



(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【魔眼】を模倣しました。』



‥‥‥今模倣したって事は、発動型のスキルなんだな。


しかしリルよ‥


お前もしかして威嚇する度に俺の弱点探してたのかい?


斬る気満々じゃないかっ!


なんて恐ろしい娘っ!



と、とりあえず模倣したスキル【魔眼】を使ってみる。



【魔眼】を発動させると目に見える物の色彩が増えたように思えた。


周りの物を見てみるが、そんなに変わったような印象は受けない。


近くのテーブルを少し目を凝らして見ると何となくではあるがテーブルの脚の一つがぼやけて見える。


テーブルを動かしてみるとぼやけている脚に亀裂が入っているのがわかった。


なるほど‥


かなり強力なスキルにはなるが、レベルが1だとあまり使えないかもしれないな。


結構視線に力を入れないと弱点がわからない。


戦闘している時にそんな事をしていると、あっという間に斬りつけられそうな気がする。


これがレベルが上がっていくと、リルみたいに斬るべき所がわかるようになっていくのだろう。



残念ながら、スキル【刀神士】については、やはり進化前のスキルは剣士だったようで『スキル【剣士】は統合しています』のアナウンスが脳内に流れた。


現時点ではあまり使えないかもしれないが、スキル【魔眼】はかなり強力なスキルと思うから、そのうち統合する事に期待するとしよう。


「リルありがとう。リルのスキル模倣させてもらったよ。」


「フシャーッ!」


威嚇した後にアキーエの元に行き、何か小声で言っている。


「リルが、役に立てたならよかったって。」


「ああ。ありがとうな。」


できれば面と向かって言ってほしいと思うが、そのうち慣れたら言ってくれるだろ。


慣れる‥かな‥?





リルのスキルを模倣した後はアキーエたちと別れて、王都の冒険者ギルドに行く事にした。


ギルド内に入ると、受付でガチムチのおっさんが、冒険者相手に依頼の確認を行っていた。


「お前らの実力じゃ、オーガは無理だ。せめてオークにしておけ。討伐ランクは適正にはなっているが、オーガ相手だと、倒せるかもしれんが誰かが大きな怪我をするかもしれん。」


「なんだと?俺達ならオーガ程度相手にならないはずだ!勝手にギルドの受付係程度が俺達の実力を図るんじゃねえ!」


‥‥‥こんな場面に出くわすと、ギルドの受付ってのも大変なんだなと思う。


「ああ!じゃあそのギルドの受付係の強さわからしてやろうか!?」


おいおい。

お前が喧嘩買ってどうするんだ。


「おっさん‥おっさんが喧嘩買ってどうするんだよ。おっさんなら彼らくらい問題にはならないんだろうけど、立場的にまずいだろ。」


「あ?お、お前マルコイじゃないかっ!久しぶりじゃないか!前に言ってた用事は終わったのか!?」


「ああ。おかげさまでな。」


「そっか‥そいつはよかったな。こっちにはしばらくいるのか?」


「ああ。数日はな。」


「そうか!それじゃあ今日飲みに行けるか?」


「ああ。大丈夫だぞ。」


久しぶりに俺もバーントのおっさんと飲みたいと思ってたしな。


「おいおいおいっ!何俺らを無視して話してやがんだ!」


あ、絡んでた人たち忘れてた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る