第657話
「うぬっ!貴様魔法使いであったか!」
風の魔法を受け、身体から血を流すアフアーブ。
出血はあるが、致命傷からは程遠い。
さすがは魔族ってところかな。
魔法に対しても耐性が高いようだ。
こちらに向かって走り出そうとするアフアーブ。
でも残念。
次の魔法の詠唱は終わってるぞ。
「どんどん行くぞ!『風刃烈波』!」
再度風の魔法を放つ。
アフアーブは顔の前で両手を交差させて、風の魔法を耐える。
「ぐぬぬ‥これほどの魔法を連続で放つだと!?それほどまでに高ランクの魔法使いだったとは!」
凄いな『穿つ者』は。
スキル【賢者】の力だけど、魔法の詠唱と魔力を練り上げるスピードが早い。
遠距離から一方的に攻撃できるな。
てことでもう1発。
「『風刃烈波』」
「ぐがぁ!貴様!」
アフアーブは同じ体勢のまま、魔法を耐えている。
「くっ!だが何度放とうと、その魔法で俺を倒す事はできんぞ!魔力が切れたら斬り刻んでやるわっ!」
うーん‥
まだまだ魔力切れは起こしそうにないし、もっと強い魔法を使う事もできるけど、無駄に魔力を使うのも勿体無いな。
3発目の魔法を放った後に、エンチャントを『穿つ者』から『勇敢なる者』に切り替える。
「はっはぁ!どうした!魔力切れか?あれだけの魔法だ、3発撃てれば大した者だ。それでも俺には通じなかったがな!」
いや、めちゃくちゃ血出てますけど‥
それとまだめちゃくちゃ撃てますけど‥
「切り札は通じなかったなあ!それともまだ何か持っているのか?もっともっと俺と戦え!」
うわぁ‥
脳汁が凄いことになってるな‥
でもさっきも言っただろ?
楽しめるような事はないって‥
「今度はこちらからい‥」
何か言いかけてるけど知った事ではない。
俺はエンチャント:『勇敢なる者』を使いアフアーブに駆け寄る。
『勇敢なる者』の効果で向上した身体能力で一気にトップスピードまで加速する。
一瞬でアフアーブの懐に入り、拳を突き出す。
「ぐがっ!」
アフアーブは矢のように後ろに飛んで後ろにいた帝国兵にぶつかりながら転がって行った‥
おお‥
『勇敢なる者』を使って初めて本気で殴ったけど、凄い威力だな。
これだけで魔族を倒せそうな‥
「ぐはあ!なんだその力は!俺の身体を吹き飛ばすだと?」
帝国兵を押し退けてアフアーブが戻ってきた。
さすがに魔王が従える手下だな。
あれだけの威力だったのに、それほどのダメージを受けているようには見えない。
スキル【身体狂化】と【鉄壁】を持ってたからな‥
おそらく攻撃力を上げるスキルと防御力を上げるスキルなんだろうけど、かなり強いスキルだな。
「ぐう‥貴様一体何者だ?貴様が勇者なのか?しかし勇者が風の魔法を使うなど聞いた事がないぞ‥」
勇者じゃないぞ。
勇者の模倣だ。
俺は『スペース』から剣を取り出す。
オリハルコンで剣を作るつもりだったけど、まだ手をつけれてない。
剣の強化も戦闘力アップになるから急がないとな。
使い慣れた剣を鞘から引き抜く。
「なんだと!?き、貴様剣も使うのか!」
いちいちうるさい魔族だな。
だから言ったろ、楽しめないって。
俺はアフアーブに向かって駆ける。
「くっ!スキル【鉄壁】がある俺は斬れん!斬れんぞぉ!」
俺はアフアーブの横を駆け抜けると同時に横薙ぎの剣を放つ。
アフアーブの反応は早く、横に転げるように避ける。
だが手応えはあったぞ。
「ぐがっ!お、俺の身体を剣で斬るだと!な、なんなんだお前は!く、くそ!ゆ、ゆるさんぞ!」
アフアーブの身体を魔力が包む。
む?
「意識が返ってこなくてもいい!貴様を殺せるならば!」
スキル【身体狂化】か?
今までも使ってたと思うが、最大限まで使うと精神に影響があったりするのか?
「き、ぎざまだけはこごで‥がっ!」
何か言いかけていたアフアーブは突然現れた巨大な脚に踏み潰された。
「す、すまないマルコイさん!まだ動きがおぼつかなくて‥」
おお‥
ナイスクワイス。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます