第364話
目的地であるナーメルとセイルズの間に位置する森には徒歩で半日程度かかる。
目的地までに何かしら『カッカス』からの妨害があるかと思っていたが、拍子抜けするくらい何も問題なく到着する事が出来た。
そうモンスターにも遭遇しない、問題がなさ過ぎる
到着だった。
魔王出現でモンスターの動きが活性化しているなかで半日の道のりでモンスターに会わない。
嫌な予感というか、もう確信だな。
だが森に到着するとチラホラとモンスターの襲撃にあった。
もしかすると本当に森の中で何かが起こっているのだろうか?
予定の時間が過ぎようとしていた‥
俺はてっきり『カッカス』はこちらを襲撃してくるのもだと思っていた。
しかし意外にも時間通りにこちらの目の前に現れた。
筋肉を先頭しにて40名程度がこちらに向かってくる。
「おう。待たせたか?」
筋肉がこちらに声をかけてくる。
「いや。こちらも先程着いたところだ。」
クワイスが答える。
すると筋肉の後ろからフードを被った人物が現れた。
そのフードには見覚えがあった。
俺が『カッカス』の拠点に落とした、俺たちを襲撃してきた魔族の被っていたものだ。
フードを被っている人物は前に出てくるとフードを外す。
フードを被っていた人物はサントバルだった。
しかし以前会ったときのようにキチッとした身なりではない。
眼鏡はかけているが、髪もボサボサで無精髭も生えている。
「今回は我がナイコビ商会の依頼を受けてくれて感謝する。うちが入手した情報によると我々が住むナーメルが狙われている。それを退治してもらいたいと思い依頼をかけた。」
ふん。
確かに狙われてるな。
狙ってる当人が目の前にいるからな。
俺が思わず笑みを浮かべるとサントバルに睨まれた。
はっ!
自業自得だよ。
その身なりを見ればよほど焦っているのがわかる。
そりゃそうだよな。
なんでか知らないが、ロンギル共和国を手に入れるのがお前の目的だったんだろう?
それを目前にして邪魔されたんだ。
そりゃ悔しいだろうな。
しかし先に手を出してきたのはお前らだ。
絶対に容赦はしない。
するとサントバルは突然大きな声を出して笑い出した。
「はーはっはっは!そうだな。ここまで来たら誰も見ていない。それにもう見られていたとしても関係ないか。お前にここまで追い詰められるとは思わなかったぞ。これで俺は降格するだろうし、下手したら殺されて奪われるだろうな。だが!」
サントバルはこちらを睨みつける。
「このままでは終わらんよ。お前を、お前のスキルを手土産に俺は返り咲く。俺のスキルは誰にも奪わせん!」
おおう。
だいぶきてるなぁ。
「ダンバル!奴らを討て!」
もう後先考えてないのか?
「おいおい。もう後は力押しか?まあ別にそれでも構わないがな。それにこっちは『アウローラ』もいるんだ。お前たちだけで倒せると思ってるのか?それとも何か隠し球でも持ってるのか?」
人数的には向こうが多い。
しかし俺とまともに戦えるのはサントバルとダンバルだけじゃないか?
アキーエかミミウのどちらかは加勢ができるし、こっちにはアレカンドロもいる。
とてもじゃないが、『カッカス』に勝ち目はないぞ。
「そうだな。『カッカス』だけでお前達の相手が出来るとは思っていない。だがオークキングもお前達に討伐された。並のモンスターじゃお前らの相手にならんからな。ちゃんと連れてきているぞ。」
サントバルが森の方を向き合図を送る。
するとそれまでは伏せていたのか、森の中に巨大なモンスターが現れた。
「さすがにコイツらの王を従えるのは無理だが、数匹なら従える事が出来る。お前たちなら相手出来るとは思うが数は3匹。お前達と一緒だぞ。コイツらの相手をしながら俺や『カッカス』の相手ができるかな?はーはっはっは!」
高笑いを上げるサントバルの後ろには3匹の種類の違うドラゴンが鎌首をもたげてこちらを見下ろしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます