第796話

「アザウア伯爵‥それは‥」


「イェルン宰相もわかっていて来られたんでしょう?今のヨエク王は恐ろしいほどの力を持ってらっしゃる。財力も軍事力も。たとえ前王が自分が王だと宣言したところで、力を持って排除されるでしょう。ここまでヨエク王が力を持つ前であれば我ら中立派の貴族は前王についたでしょう。ですがもう遅すぎるのです。」


「しかしっ!中立派の貴族全てが味方になってもらえば勝てないまでも力押しで来られても持ち堪える事ができるのではないですか!?」


「先ほどお伝えさせていただいたように、遅すぎるのです‥中立派の貴族の半分ほどがすでにヨエク王に取り込まれました。今の我々では、資金も軍事力も足りないのです‥」


「そ、そんな‥」


イェルンさんががっくりと項垂れている。


そう言う事なんだ‥

だったらやっぱり王様には一旦国外に退避してもらって、他国の力を借りてヨエクを討伐する事になるのかしら?

でもそうなると力を借りた国の属国になっちゃったりするわよね‥


無償で力を貸してくれる所なんてないもの。


もしかしたら獣王様だったら助けてくれるのかもしれないけど‥


でもマルコイが頼む形になるだろうし、獣王様もマルコイも気にしないって言いそうだけど、あんまり貸し借りしたりするのもどうなんだろ‥


「ほな、こっからはうちが進めてもええですか?」


「ほあっ!」「うひっ!」


キリーエが声をかけたら、2人とも椅子から飛び上がるくらいにびっくりしてる。


アザウア伯爵はわかるけど、何でイェルンさんまで驚いてるのかしら‥?


「な、な、なんだね君は!イェルン宰相の護衛と聞いたが、最初から部屋にいたのかね?」


「ええ。おりました。うちが話しかけるんは、今の現状をお互い確認してからがええやろ思いまして。」


「どういう事だ?」


「キリーエさん、何か妙案でもあるのですか?」


「あら?うちイェルンさんに言ってませんでしたっけ?」


「何の事です?キリーエさんがとんでもなく強い冒険者って事は知ってますけど‥」


「なんでですのん!先ほどお2人が話してた、資金と軍事力に関して資金の面に関してはうちが解決しますわ。」


「ふん!何を言っているんだ?冒険者が国の財政に対抗出来るほどの資金を用意できると言いたいのですか?そんな事無理に決まっているでしょう!」


アザウア伯爵は呆れた顔をしている。


そっか、キリーエはここであんまり活動してなかったからわかんないんだ。


「残念やけど、うちは冒険者じゃないんです。本業は商人しとります。」


「え?」


イェルンさん、本気でキリーエが冒険者だと思ってたのかしら?


城で自己紹介してたような気がするんだけど‥


色んな事があり過ぎて、頭から消えてしまったのかしら?


「なるほど。しかし商人とはいえ、ヨエク王に対抗出来るほどの資金があるのかね?それに返済できるかもわからない金になるんだぞ?」 


そうよね、いくらキリーエがお金持ってるって言っても、国を相手にするほどのお金はないんじゃないかしら?


正直マルコイとキリーエがやってる商会がどれほど売り上げ上げてるのかわからないのよね‥


「正直、うちはヨエクはんとは商売したいと思わないんです。だから王様に頑張ってもらって、うちらの商会がプリカやトールルズ全体に出せたらええなと思ってます。」


「そのために負けるかもしれない戦にお金を出していいと?」


「ええ。多分マルコイさんもええ言うてくれます。」


「なるほど‥ところで君達の商会は何と言うのかね?それだけ言うのだから、そこそこ大きな商会なんだろう?」


「うちらの商会はホット商会言います。まだトールルズには出店数が少ないから知られてないかも知れへんけど‥」


「「なっ!ホット商会!?」」


「ええ。それに軍事力も解決しますよ。知己の傭兵団がいますし、何より1人で軍と戦える仲間がおりますから。」


キリーエがこっちを見る‥


‥‥‥え?


それってわたしの事なの!?







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