第766話
「それだけでいい?う、うむ。とりあえず王座を取り戻すためにはここから出ねばならん。ヨエクが賢王であれば私は王座を渡しても構わんと思っていたが、そうではないようだからな。国民の為にも王の座を取り戻さねばならぬようだ。」
そういう事ではないんだけと、ヨエクが愚王ってところは同意だな。
「そうではありません。ここを脱出するのはすぐにでもできます。そうではなく、私が言いたいのはその後どうするかの話です。」
「う、うむ‥?ここを出た後はイェルンと合流してヨエクと戦えるだけの戦力を集めて、あやつと交渉する事になるだろう。まあヨエクがそれに応じるかわからんがな‥」
「あ、イェルンさんなら連れてきました。王様の場所がわからなかったのでイェルンさんに聞こうと思って訪ねたんですけど、困ってたみたいですからね。」
「なっ、そうなのか?」
「はい。丁度来たみたいです。」
アキーエたちと共にイェルンさんがこちらにやってきた。
「お、おお!王よ、よくご無事でいらっしゃいました!この度は申し訳ございません。ヨエクの凶行を抑える事ができずに、王を危険な目にあわせてしまいました‥この状況を打破した後に罰はいかようにも受けさせていただきます。」
「何を言うか。罰など与える訳あるまい。お前が無事で何よりだ‥ヨエクの事は私が対応が遅かった事が原因だ。以前のヨエクに戻ってくれるのではないかと期待しておった私のせいだ。」
「王よ‥」
王様とイェルンさん、それとヨエクの間に溝が生まれる何かがあった。
俺はその件も気になってはいるんだけどな。
「すまないなマルコイ。イェルンまで連れて来てくれて。それではここを抜けるまで護衛を頼むぞ。」
「わかりました。それと1ついいでしょうか?」
「ふむ、なんだ?」
「再度お尋ねしますが、本当にここ抜けるだけでいいんでしょうか?王様が依頼していただけるのであれば、ヨエクの家を爆破してきますけど‥?」
「は?」
おおう‥
久しぶりだな、この何を言ってるんだ的な表情‥
昔はクワイスなんかがよくしてたんだけど、最近は何故か諦めの表情なんだよね‥
「そ、それは‥い、いくらマルコイでも無理であろう?」
すると横手イェルンさんが首を横に振る。
「王よ。マルコイ殿であれば無理ではありません。マルコイ殿は人外の力を持っておられます。一騎当千を地でいく男です。いや、彼の場合は一騎当万ですかね‥アンコントローラブルな彼の助力があれば、この状況を好転させる事ができると思います。」
何かめちゃめちゃ言ってないか?
「そ、そうか‥わかった。それではマルコイよ。ここを抜けた後でも助力を頼めるか?」
「はい。正式に依頼していただければお力添えをさせていただきます。」
う〜ん‥
もっとズバッと爆破してこいって言ってくれた方がいいんだけどなぁ‥
「ところで王様はずっとこちらにいらっしゃったのですか?」
「そうだな‥イェルンのところに身を寄せるわけにはいかず、ギルドマスターに頼りはしたが、軍部を抑えられているなら国内での戦力を集める事は不可能に近かった。離国して体制を整えるしかないかと思っておったが、一時とはいえ国を離れる事は国民を裏切る事になる‥何としても生き延びてヨエクから王座を取り返すまでは諦めるつもりはなかったのだが、さすがにレッサーウルフだけでなく、ヘルハウンドにまで囲まれた時は死を覚悟してしまったよ。」
「本当に助かった。俺達からも礼を言わせてもらう。」
王様と共にいた2人の男女が歩み寄ってきた。
1人は盾を使い王様を護っていた人だな。
もう1人の女性は【ボックス】待ちの人だろうか?
「彼らは冒険者ギルドに所属しているカルロとパレラだ。彼らはこの国の冒険者でな。私が騎士になるよう再三薦めたが冒険者が性に合っていると断っておった者達だ。彼らが冒険者ギルドから依頼を受けて私を鉱山で匿ってくれておったのだ。」
「はは。俺たちは盾役と食糧を準備しただけで、モンスターは王様が倒してたけどな。」
そうか。
確か王様は元冒険者だったもんな。
でもカルロさんたちみたいに命をかけて護ろうとしてくれる人がいるってとこがヨエクとの違いと思うけどな。
----------------------------------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
〇読んでくださった方へ
よろしければ、星をポチッとしていただけると、とても嬉しいです。
今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます