第474話

見栄を張ったものの、魔族を連れて歩くにはどうすればいいか‥


「フルフェイスのアーマーを着けてればいいんじゃないんですか?あれだったら、昔自分が着けてたやつがありますよ!」


全身を隠すか‥

確かにそれも一つの案だよな。


でも脱ぐ時には見つかってしまうし、外で食事が出来なくなってしまう。


それにアレカンドロの鎧じゃデカ過ぎるだろ‥


「そしたら自分と模擬戦しても魔族ってバレないですよ!」


何で模擬戦する前提なんだよ!


「アレカンドロ。それだと食事が外でできないからな。でも考えてくれてありがとう。」


俺がそう言うと、アレカンドロは何故か顔を真っ赤にして俯く。


失敗したと思って恥ずかしかったのかな‥?


「そんな面と向かってありがとうなんて‥」


なんかブツブツ言ってる。



しかし眼は人体的特徴として、根本的には変える事なんてできやしない。


なら隠すって事になるけど‥


俺たちが神聖国に行った時に使った魔道具を使うか‥?


しかし魔族の眼は白眼が赤いからな。

俺の魔道具もそこは変更できないんだよな‥

それじゃ新しい魔道具を考えるか‥


あ、そうだ。

あれが使えないかな。


俺は懐から財布を出す。


中身は‥

最近使ってばかりだったからなぁ‥


そんな寂しい財布の中から一枚のコインを出す。


それに巻きつけるように付けてあった魔力回路を引き剥がす。


そして魔力回路を確認する。

うん。

まだ使えるようだな。


でもここの流れがおかしい。

これをイジってやれば、魔力が身体に流れなくなる障害も取り除けるな。


これをペンダントに取り付ける。


「リル。ちょっとこれをつけてくれないか?」


俺はペンダントをリルに渡す。


「これは?」


「これは昔俺が戦った魔族が持っていたものだ。その魔族は魔力は無くなっていたものの、容姿は魔族ではなく人族になっていたんだ。」


ガルヘアは魔道具を壊すまでは人族の姿をしていた。


ただ、魔力を使えなくなるって欠陥品だったけど、俺が改造すればそれも解消できます。


改めてスキル【アルケミストメーカー】の凄さを感じてしまいます。


リルがペンダントをつけると瞳が人族のそれと変わらなくなった。


「嘘でしょ。こんな事‥どんな魔道具だって瞳を隠す事は出来なかった。姿を変えるアーティファクトだって無理だったのに‥」


リルの色が変わった瞳には、涙が浮かんでいる。


そうか。

魔族は他の種族から畏怖される。

それは全ての魔族の事で、たとえ自分は違うのだと言った所で誰にも相手をされない。


行動で示したとしても、今までの歴史がそれをなかった事にしてしまう。


それに魔族はそれまで友好的だった人まで、魔王が出現したら豹変してしまう。

種族の呪いのようなものなのかもしれない。


この世界がどこかおかしいのかもしれないな‥

そんな事をついつい考えてしまう。


「ありがとう!マルコイ!」


そう言ってリルが抱きついてきた。



と思ったら投げ飛ばされた。

思わず頭を撫でようとしたところで油断しまくっており、埃まみれの床を転がってしまった。


「何すんだお前!」


「ごめん!嬉しくて抱きついたけど、身体が拒否した!」


なんぞそれ。


「う〜む。なかなかいい投げ技でしたな!これは是非とも自分と一度模擬戦を!」


わかったわかった。

収集つかんだろうが。


「とにかく一度みんながいる宿に行こう。傭兵団の人たちはまだしも、キリーエたちには報告しとかないと。」


「それじゃあリルはわたしたちと一緒にいていいの?」


「それはキリーエたちが何て言うか聞いてみないと。」


まあ多分全然問題ないって言うと思うけどね。





「ん。全然問題ないんちゃう?魔族?でもこっちでやっていきたいんやろ?そら多少は思うところもあるけど、アキーエちゃんがこんだけ言うてるんやから反対する理由がないよ。」


そだよね。

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