第274話
キリーエが村おこしの為に意見交換をしてくれるそうだ。
俺としては‥
俺の名前をもう少し減らしてくれるなら我慢は多少しよう。
父親の眉間に皺がない顔を久しぶりに見てしまったからな。
アルサンも呼ばれて話をすることになった。
アルサンは今は村の発展のためにお土産の件で商人のような仕事をしているそうだ。
商人ギルドにも登録しているとの事。
そのアルサンとキリーエが話をしている。
「村の土産物にこの村独自の物がないと売れないと思いますわ。この村を代表するお土産を作りましょう。」
確かにな。
俺としてはとにかくマルコイ木札はやめてほしい。
俺の似顔絵が描いてあり、その下に俺の名前が書いてあった。
そして認めたくないが、俺より少しだけ‥ほんの少しだけイケメンに描いてあった。
そして結論からするとマルコイ名のついた商品の廃止。
そして闘人饅頭なる甘いお菓子を出す事になったようだ。
小豆を砂糖と一緒に煮詰めた餡子を小麦粉と米を砕いた粉を混ぜて作る生地の中に入れて蒸す一口サイズの小さなお菓子だった。
ここから買って土産として持って帰れるもので、中の小豆も元々少量作っていたが、これからは村全体で小豆を作っていくらしい。
ちなみにマルコイ木札も廃止になったが、闘人絵という名前でアンバーエストの名前だけ載せて売るらしい。
た、多少はましか‥
「マルコイありがとうな。お前のお陰で俺が継ぐ村の先が見えたよ。」
兄のアルサンが話しかけてきた。
「俺はとにかく俺推しなのをやめてもらいたかっただけだよ。やってくれたのはキリーエだ。」
「それでもお前のパーティメンバーなんだからな。本当に助かった。闘人饅頭についてはホット商会の商品にはなるけど、納付金は村おこしが上手くいってからでいいって言ってくれたし。」
「そうか。早いとこ軌道に乗せてくれよ。じゃないと俺がキリーエに頭が上がらん。」
「はは。任せとけ。しかし俺も商人として勉強していたがアイデアやら考え方がとてもじゃないが真似できん。いい勉強をさせてもらった。」
「そういえば兄貴は商人ギルドに登録したんだったな。」
「ああ。ほら。」
そう言ってアルサンはギルドカードを見せてくれた。
アルサン
商人ランクD
スキル【位相】
「スキルは昔のまま使えない【位相】だけどな。」
そういえば兄貴のスキルも不遇スキルだったな。
確か村の定期便とかが今どの辺にいるのかとかが分かるとか言ってた気がするけど‥
はっきりと使えないスキルだとは言っていた。
定期的に動く物がどの辺にあるのかわかるとかなんとか。
そんなスキルだったから兄貴は商売に力を入れて村を発展させ‥
(ピコーンッ)
『模倣スキルを発現しました。スキル【位相】を模倣しました』
『統合条件を達成しました。模倣スキル【固定】【範囲】【位相】を統合します。スキル【空間魔法】に統合しました』
は?
あ〜はいはい。
また突然のスキル統合ですね。
今回兄貴のスキル以外のスキル【固定】と【範囲】は獣人国にいる時に模擬戦で覚えたスキルだ。
【固定】は物を固定することができる能力だ。
なんと空中に物を固定する事も出来る。
しかし魔力が尽きたり、解除すると落ちる。
使ってた冒険者は空中の足場を作って移動していたが、先に足場を作る必要がありそれが見えるのでどう動くかわかる為それほど脅威ではなかった。
【範囲】については自分を中心にある程度の範囲にある物がわかるなど、探し物に便利なスキルだった。
これを持っていた冒険者はダブルスキル持ちで【範囲】については闘いで使用する事はなかったので闘いで使えるスキルではなかったのだろう。
しかし【空間魔法】か‥
まだ使える魔法は少ないがものすごく便利なのがわかる。
1つは空中に足場を作ることができる。
物を使わずに。
空中の空間を固定させてその上を歩く事ができるようだ。
もちろん走る事も。
必要があるのかわからないが、これで空中戦までできるようになったみたいだ。
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