第571話

帝国かぁ‥


「それに対しておっさんはどう思う?」


「そうだな‥何かの間違いだとは思うが、それが本当なら神聖国にまた侵攻するつもりってとこか?しかし理由がないからな‥前聖王の時は要求を飲めなかったからと言った理由があった。しかし現聖王が正式に謝罪したんだ。それで神聖国に侵攻するようであれば各国からの非難が殺到する。世界的に自分達の立場が悪くなるだけだ。下手したらそれを理由に帝国が他の国から攻められる可能性もある。そんな危険な事をするとは思わないが‥」


普通に考えればそうだよな。

でもな‥


「おっさん。もし帝国が普通じゃなかったら?もし帝国が裏で魔族と繋がってたらどうする?」


「なっ!そんな馬鹿な事があるわけないだろう?魔族が別種族と手を組むなんてあるはずがない。魔王は他種族を全て滅ぼそうとしてるのに一国家と手を結ぶなんて考えられないぞ。」


それは先入観ってやつだよな。


「帝国がそこまで追い詰められてたんじゃないのか?神聖国の前聖王は、自分の利しか考えないようなやつだったからな。もしかしたら魔道具以外にも何か要求してたんじゃないのか?」


例えば王女だったり国民だったり‥


「それと、はっきり言うけど帝国は多分本気で魔王の支援を受けてたぞ。」


「なっ!バカな!そんな事が‥お前がそう言い切れるのは何か理由があるのか?」


そうですね。

まあ理由の1つがパーティメンバーでいますから。


「理由の1つが帝国が神聖国を攻める時に、同時にモンスターの氾濫が起こった。それだけなら偶然で片付けられるけどな。そのモンスターの氾濫を俺たちが倒した後に帝国はすぐに自国に撤退した。まるでモンスターの氾濫が収まった事を知ったかのようにな。」


「ちょっと待て!気になるフレーズがあったぞ!モンスターの氾濫を俺達が倒したって言わなかった?」


「んあ?そうだぞ。でも俺たちって言ってもロンギルの傭兵団の人たちにも手伝ってもらったしな。」


「いや、いくら手伝ってもらったと言ってもな‥もしかして傭兵が10,000人くらいいたとか?」


「んなわけあるかいっ!」


だいたい10,000人雇えるお金があるわけないだろ!

‥‥‥でもホット商会なら一万でも二万でも雇えうそうな気がするけど‥


「それじゃあどうやって倒したっていんだよ。さすがに通常の傭兵団みたく100人程度しかいないなら、全員がSとかAランクないと無理だろ?」


「そりゃそうだろ。だってモンスターは万を超えてたからな。」


「いや、そりゃそうだろってお前‥それじゃあどうやって殲滅したんだよ?100人揃って極大魔法でも練り上げてぶっ放したのか?」


う〜ん‥

イメージとしては近いかもな。

100人が大魔法みたいなもんをぶっ放したんだからな。


「おっさん聞いてたからわかると思うんだけど、俺のスキルって色々できるんだよ。その1つに魔道具を作るってスキルがあるんだけどさ。」


「はぁ?お前それは魔道具士みたいなもんか?でも魔道具士は1つの魔道具作るのにかなり時間がかかるじゃないか。さすがに1つ2つ魔道具作ったところでどうにもならんだろ?」


「いや、俺のスキルは短時間でまとめて魔道具が作れるんだよ。」


おっ!

おっさんの顔が止まった。

口開けたままにしてると虫が‥


えいっ!


「ぶへっ!ごほっごほっ!何すんだお前!」


「いや、おっさんの口が開いてたから、チーズ投げ入れてみた。」


「そんなもん、投げ入れられたからわかってるわ!」


虫が入ったら困ると思って良心から入れたんだぞ。


「お前そんなスキル持ってたら‥いや何も言わないでおく。お前は好き勝手してた方が、見てる方は面白いからな。」


「俺はおっさんを見てるだけで面白いぞ。」


「何故に!?」


「まあそれは置いといて、その魔道具使って殲滅したんだよ。そしたら帝国兵は知っての通り一旦撤退したってわけだ。」


「それは‥確かに辻褄はあってるが、それだけじゃ確証にはならんだろ。」


「いや、もう1つあるんだなこれが。」

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