第952話

スキル【ギフトオリジン】ね‥


女神が作ったギフトってところか。


スキルの効果は今までのスキルと同じでエンチャントができるってところだ。


だが今までのスキルと違い、エンチャントできるのは2つだけだ。


俺はそのうちの1つを発動させる。


「『エンチャント:真なる勇者』」


エンチャントが発動する。


俺の身体の筋肉が、血が躍動する。


「グガァァァァ!」


魔王が立ち上がり、俺に向かって拳を振るう。


剣を使っていないという事は、おそらく力を上昇させるスキルを使用しているのだろう。


だが‥


「拒絶せよ『聖牢』」


金属を叩いたような音と共に魔王の拳が弾かれる。


魔王の弾かれた拳はつけていた鎧が砕かれ、血が滴り落ちている。


俺の周りには魔王の拳を弾いた、淡い光を放つ壁が出現していた。


エンチャント:真なる勇者


勇者とその仲間である、聖騎士、賢者、聖女の力を行使することができるエンチャントだ。


どうやら元々、スキル【勇者】【聖騎士】【賢者】【聖女】は1人に与えられるスキルだったようだ。


しかし1人ではその力を行使することが難しく、女神がスキルを4つに分けて4人それぞれに与えていたようだ。


いやしかし、スキルの事が頭の中に入ってきて、『聖牢』であれば魔王の攻撃も弾けると自信はあったんだが、本当に弾けるとはな‥


これならアキーエさんの攻撃も何とかなるかもしれない‥


いや無理かな‥


「聖なる光よ、闇を払う白刃となれ『聖光槍』」


光の奔流が魔王を襲う。


光の槍は魔王の鎧の抵抗を簡単に突き破り、その腹部へと突き刺さった。


「ガブッ!」


光の槍は魔王の腹部に穴をあけ、そのまま後方へ突き抜けた。


魔王は吐血し、膝をつく。


ふむ。


おそらく光属性の威力自体も大幅に上がっている。


そして勇者の光属性の魔法を賢者の魔力操作で操る事ができる‥


これ‥


今までのなんちゃって勇者を遥かに超えて、完全なる勇者‥いやマキシマム勇者になってるやん。



魔王は蹲ったまま動かない。


おそらく傷を回復しているのだろう。


だが回復したとしてももう意味はない。


今の魔王は完全に意識をスキルに飲み込まれている。


何故かわからないが、わかってしまう‥

傷が癒えたとしても、魔族ジェズアルドの意識は戻ってくる事はない。


洗脳であればワンチャンなんとかなるかもしれなかったが、おそらくあれは精神の死んだジェズアルドの身体をスキル【魔王】が無理やり動かしているようなものだ。


僅かな会話しかしなかったが、1人の男としては敬意を払える男だった。


まあアキーエに求婚したからぶっ飛ばすつもりではいたんだけどな。


最後の約束、きちんと守ってやるよ。


蹲っていた魔王が動き出す。


小手に剣を生やし、俺の首を狙ってきた。


真後ろに正人がいるが、俺を狙ってきている。


俺の中にある【勇者】に反応しているのだろうか?

でなければ、あんなでかい頭が真後ろにいるのに、俺の方に向かってくるはずがないものな。


俺は首に迫ってきた剣を躱し、魔王の肩に触れる。


「『エンチャント:深なる魔王』」


俺が触れていた肩から鎧が剥がれていく。


魔王はすぐに距離をとり、自身の鎧を確かめる。


しかし魔王の鎧は徐々に剥がれ落ちていき、全ての鎧が消え去った。


魔王はスキルを鎧のスキル発動する事ができずに動揺している。


そんな状態でも動揺するのな。


それじゃあもっと驚いてもらおうか。



俺はスキル【エクソスケルトン】を発動させる。


俺の身体を昆虫の外骨格のようなものが包み込む。


おお、なるほど。


こんな感じだったんだな。


俺は少し動いて身体の状態を確認する。


動きを阻害するような物はないし、身体の表面を膜が張っているようだ。


あれだけの強度があるのに、軽くて動きやすいなんてすごいスキルだな。


魔王は自身のスキルが消失した事を確認したのか、別のスキルを使い、剣と盾を生み出してこちらに向かってきた。


ふん。

使い勝手はこっちの方がよさそうだ。

1つとなると色々迷うな‥


俺は魔王から奪ったスキルを使い、魔王を迎え撃った。






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