第102話

闘技会予選をミミウは問題なく勝ち上がった。

これでミミウは本戦出場の資格を得た事になった。


ミミウが会場から降りてくる。

特に怪我もない様だ。

元々持っていたスキルがBランク相当まで上がっている上に模倣スキルと魔道具で強化されてるからな。


それでもやっぱりお兄ちゃんは心配してました。


「やったですぅ!」


ミミウは無邪気に喜んでいるが、会場は結構騒然としている。

確かにBランクに上がったばかりの冒険者が、予選とはいえ無傷で本戦に上がったのだからな。


「魔道具化したタワーシールドはどうだった?対人戦ではかなり有効だったみたいだけど。」


「戦闘中の切り替えも練習の甲斐あってタイミングよくできました〜。」


確かに試行錯誤しながら練習してたからな。

ミミウが戦って相性が悪いとしたら魔法使いだろうけど、魔法使いは今回の大会には出場しなさそうだしな。

鉄製以外の武器を持っているか、格闘士が相手なら『磁力』が使えないけど、素の実力もかなりのものだし。

魔力回路である魔石はタワーシールドの内側につけており、戦闘中でも切り替えができるよう魔力回路に手動のスイッチも付けている。

相手に『磁力』をつけるには1度タワーシールドを相手に当てる必要があるが、ミミウはシールドバッシュで相手のフルメイルに『磁力』をつけた様だったな。


しかし良かった。

これでミミウは本戦参加か。

あとはアキーエと俺だが、俺だけ負けて参加出来ないとならないように頑張らないと。


「それじゃ行ってくるわね。」


おっとアキーエの出番か。

アキーエはいつもの魔法使いっぽい格好ではなく、動きやすいズボンスタイルに革製の鎧を着けている。

そしていつも戦闘の時に持っていた杖は持っていない。

代わりにガントレットを腕に着けている。

肘辺りまで覆っているガントレットで、肘の辺りには両方とも魔石が嵌め込んである。


アキーエにはガントレットを魔道具化して渡していた。

ミミウのような切り替えは必要ないが、左右別の魔道具に仕上げている。


この格闘士然としたスタイルで魔法使うんだから反則だよな。


アキーエは会場に入って拳を開閉して、ガントレットを具合を確かめている様だ。


アキーエの相手にも俺の知り合いはいないようだ。


知り合いと言っても『獅子の立髪』のアマンダさんたちと『雷鳴の音』のスコルさんくらいだけど。


あ、あとノギスがいたな。


ノギスあたりはアキーエにボコボコにされても面白かったけど。


対戦相手は事前に揉め事が起きない様に、当日まで分からないようになっている。

1日目か2日目くらいはわかるけど、それ以外は会場にきてからじゃないとわからないからな。


今回アキーエの会場も5人のようだ。


全て男のようで、獣人族が3人で人族が1人か。

全員が武器を構えているのを見るとやはり魔法使いは参加自体が珍しいかもな。

ただアキーエも純粋な魔法使いではないし、見た目は完全に格闘士だからな。


「全員準備はいいか?」


会場では最終確認があっている。


「いいようだな。それでは闘技会予選二回戦を始める。」


「それでは‥始めっ!」


さてさて会場の方達にはアキーエにも驚いてもらいましょうかね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る