第101話

ミミウはまず自分だ戦う相手の動向を観察していた。

自分に関心が向いている者がいないか、誰が誰を意識しているのか、そして誰が最初に動くのか。

勝ち抜き戦で多対一になるのは状況的によくない。

たとえそうなったとしても捌ける自信はあるがリスクはなるべく避けたいところだ。

男が3人に女が1人。全て獣人族のようだ。


Bランクともなるとある程度は知っている顔がいて実力もわかっていたりするようだが、Bランクに上がったばかりの自分は実力が未知数な事もあり、2人に警戒されているようだ。


自分に関心がない2人はお互いで間合いをとっており一対一の様子だが、残り2人の男女はどうやら協力して自分を排除する事にしたらしい。


4対1の可能性も考えていたので半分になった状況は好機と言えるだろう。


2人が自分を挟むように間合いを取り出した。

このまま間合いをとりながら後退するのは悪手だ。

会場がいくら広いとはいえ、会場の外に出たら失格となるため、出来るだけ中央付近で戦うのが好ましいだろう。

挟み込まれるのを避けるため男に向かい突進する。

驚いた男は慌てて牽制で手に持っていた剣を振るうが、スキルレベル1とはいえ【俊足】を持っているのだ、あっという間に懐に入る。


そし軽くシールドバッシュをして離れた。

バックステップで距離をとった後にそのまま勢いよく突進する。




そしてミミウはそのままタワーシールドごと男にぶつかった。

すると男は‥

宙に舞った。

 




ミミウと戦う人はよく飛ばされてるよなぁ‥

今回は過去最高だな。


ミミウが【盾鬼】と【腕力】を持っているとはいえ、あまりにも不自然なほどに男は弾け飛ばされた。


そして男はそのまま場外まで飛ばされ失格となった。


男の飛ばされ方が不自然すぎて女は警戒したまま動けない。

すると女がミミウに引っ張られるように突進する。


いや、実際に引っ張られたんだろうな。

女は慌てて持っている斧をミミウに振り下ろすがタワーシールドに阻まれ、体勢を崩したところにミミウのショートスピアが迫る。


既の所で身を捻り躱そうとするが脇腹にショートスピアをくらい軽くない怪我を負う。


女は立ち上がるが、思ったより傷が深かったようでギブアップを申請した。


戦いが始まって数分の間の出来事だった。


ミミウはタワーシールドを構え、1対1で戦っている残り2人に向かっていった。





うん。

ミミウは魔道具を上手く扱えているようだ。

実はミミウに渡した魔道具は『磁力』の能力をもった魔道具だったりする。


相手が鉄製の鎧を装着していないと効果がないのだが、高ランクになれば皮だけの鎧をつけている冒険者はほとんど皆無だ。

しかも鉄製の武器については攻撃が盾に吸い寄せられる。


【アルケミストメーカー】のスキルを憶えてから、魔力回路をつけたり剥がしたりできるので、ちょっとした冗談で作ってみた。

そう冗談で‥


最初はミミウに向けて使用して驚くかなぁとかイタズラで使用したのだが、ミミウは甚くお気に召したようで、そのまま正式採用となった。


女の方は軽鎧だったので磁力を使っても身体が少し引っ張られるくらいだったが、最初に飛んでった男はフルメイルだった事もあり、彼方に飛んでいった‥


ようは何でも使い様って事だな。

ミミウはシールドを渡した後も色々と試行錯誤していたが、それが功を奏したな。


そして会場では1対1の戦いを満身創痍で勝った男が、ミミウのシールドバッシュで吹っ飛ばされ、首元にショートスピアを突きつけられていた。


「そこまで!勝者ミミウ!」

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