第783話

俺たちは冒険者ギルドの中に入る。


「誰だっ!」


さっきギルドマスターと話してた人かな?

えらく殺気立ってますね。


まあヨエクのやってる事にかなり腹を立ててるみたいだからな。

わからなくもない。

いや、わかりすぎる。


「ん?君達はもしかして‥キリーエさんの仲間か?」


「ああそうだ。お呼ばれしたみたいだったからな。」


「すまない、ありがとう。俺達だけではどうしようもなかったからな。君達の協力がなければ死を覚悟しなくてはいけないところだった。」


「別に構わないが‥俺たちみたいな見ず知らずの冒険者たちに期待していいのか?」


「はっは。もちろんギルドで見させてもらったキリーエさんの実力が抜きん出ていたのもあるが、君達はモンスターの氾濫を撃退してくれた冒険者だろう?その実力は十分過ぎるくらい知っているよ。」


「なっ!あの爆殺女神の仲間かよっ!?」


おうおう。

ここでも安定して爆殺女神が定着しているようですね。

名づけした者としては嬉しい限りです。


アキーエさん‥

尻をつねるのはやめましょう。

その部分が千切れてしまいそうですよ。

いてていてて‥


「そうだ。彼等がいればヨエクに一泡吹かせる事ができるかもしれない。まあ彼等が協力してくれればの話だがな。」


協力するも何も‥


「久しいなルパート。」


「誰だ‥?なっ、貴方は!」


王様が俺たちの後方から出てきた。


「ふん。何をそんなに驚く必要がある。キリーエに私が助け出されたのを聞いていたのだろう?」


「はい。聞いてはおりましたが、まさかこの場に来られるとは思いませんでした。」


「なに、マルコイの側が1番安全なのでな。」


「それでは彼も?」


「ああ。私が知る中では最強のそれだな。」


「ほう。王にそこまで言わせますか‥」


盛り上がってるところ悪いんですが、俺の側はそんなに安全でもないですよ?


アキーエのツッコミだったり、リルが本気でちょっかい出してきますからね。


「それに彼等は私に雇われてくれた。私を王の位置まで戻すのを手伝ってくれる。」


「なるほど。キリーエさん1人でも戦況をひっくり返せるかもと思っていましたが、仲間全員がそうなんですか‥‥‥諦めなくてよかったようですね‥少し自分を褒めたい気分ですよ。」


「ふふ。ルパートには迷惑をかけたな。本来冒険者ギルドは中立だと言うのに随分と助けてもらったな。」


「いえ、勿体ないお言葉です。」


王様は金がなくても、人が集まってくる。

人得ってやつだな。



うん‥?


もう来たのか?

随分と気が早いな。


外にヨエク兵が詰めかけてきたようだな。


その中の1人が冒険者ギルドに向かってきている。


そのまま待っていると、1人の男が入ってきた。


「底辺ども、何故まだこんなに残っている?何を期待しているのか知らぬが、諦めてヨエク様の元に行かぬか。今回俺が来たのは温情だ。30分後にまた来る。その時残っている者は命がないものと思うがいい。」


男はそう言い残すと、外に出るために扉に向かう。


「ふーん。えらくお優しいんだな。冒険者を底辺扱いしているくせに、なるだけ自分たちの味方に入れたいわけか。だけど自由がモットーの冒険者たちがお前らの下につくわけないだろ。」


俺は男に声をかける。


「なんだと‥?」


「わざわざ冒険者たちをイラつかせるような言い方をして、自分たちのところに来ないようにしてないか?城に来いってのは上からの命令だよな?おそらく報酬なんかも出るんじゃないのか?それを言わないで帰るって事はお前は冒険者を味方にしたくない。もしくは‥‥‥」


男は黙って聞いている。


「ただ銃を使って殺したいだけだろ?」


「ふはっ!ふはははははっ!よくわかってるじゃないか!きひひひひ!」


男は狂ったように笑い出した。


「ひとつ聞きたい。お前は前王の時から衛兵だったのか?」


「かはっ!ひーっひひひ!前から衛兵だったさ!ずっとずっと下っ端だったけどな!ヨエク王はそんな不遇な俺を見つけてくださって取り立ててくださったんだよ!そして力をくださった!その力をお前らのような逆徒に行使できるのだ!ぎゃはははっ!」


どこにでもいるんだな、こんな奴は‥









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