第753話

大きな音と燃え上がる炎に、周囲に住んでいる人も何事かと表に出てきだした。


「アキーエちゃん。このままだと目立ってまうわ。一旦逃げよか。」


キリーエが集まってくる人を見ながら言ってくる。


「そうね、とりあえずマルコイと合流しましょう。」


キリーエと2人で夜の街を走る。


多分最初に爆発音がした方にマルコイはいるはずだ。


音がしている方に走っているとキリーエが止まる。


「囲まれたみたいね。」


「そやね。さすがに知らない街で撒くのは難しかったみたいやね。」


最初の人たちを倒した後に、何人かに見られているのはわかっていた。


でもわたしとキリーエが急げば追いつかれる事はないだろうと思っていたけど‥

思ってた以上に地の利が向こうにあったわね。


「うちのスキルで地形はわかるけど、さすがにルートまでは難しかったわ‥」


しょうがない。

ここで迎え撃つしかなさそうだ。


路地や屋根にいる人たちが姿を表す。


結構な数がいるわね‥


これだけの人が銃を使うとしたら、少し苦戦するかもしれない‥


わたしが銃を避けている間にキリーエに倒してもらう方がいいかしら‥


ん?


もう3人こちらに向かってくる人たちがいる。


これ以上増援するのはまずいわね‥



「‥‥‥‥‥ぉ‥‥ぞぉ‥‥」


何か声が聞こえる‥


「‥‥‥いぞぉ‥‥‥‥したのにぃ‥‥」



声の主は段々と近づいてきている。


もしかしてこっちに向かって来ている3人の人かしら‥?


それにしても、どこか聞き覚えがある気が‥


「‥‥いぞぉ!俺は我慢したのにぃ!アキーエだけずるいぞぉ!」


向かってきた1人が飛び上がり屋根の上から現れた。


そしてわたしに向かって指を刺している。


「狡いぞアキーエ!俺に常識がないとか言っておきながら先に暴れてるじゃないか!俺は我慢したんだぞ!」


マルコイだった‥



マルコイが突然現れた。


「これで俺よりもアキーエの方が非常識だという事がわかったな!それにしても狡いぞ!暴れるなら俺にも言ってくれないと!」


突然何を言ってるのかしら‥?


「何を言ってるのマルコイ。先に大きな音を立てたのはマルコイでしょ!わたしはそれを聞いてから魔法を使ったんだから!」


「い、いや、違うんだ!あれは不可抗力なんだぞ!木偶人形が勝手に爆発して、抱きつき君が出てきて衛兵が驚いて!」


「マルコイ‥ますます意味がわからないわ‥」


「と、とにかく俺は常識があるということでいいよな!」


恵に言い聞かせてた事を気にしてたのね‥

もう‥


「わかったよ。少しは常識があったみたい。」


「そうだろうそうだろう。」


まあ正直、ちょっとしたピンチに飛んで来てくれるマルコイは常識なんてなくても大好きなんだけどね。







ふむ。

色々と行き違いがあったが、何とか俺が常識人だということがわかってもらえたようだな。


しかし思っていたほど被害が出ていないな‥

燃え盛る炎の中に佇むアキーエを指差して笑いにきたのだが‥


「マ‥マル‥コイ‥殿‥こ‥ここで‥よかった‥ですか‥はぁはぁ‥」


あ、やべ。

クィリーノさんの事忘れてた。


イェルンさんを抱えていたクィリーノさんは息も絶え絶えになっている。


「仲間がいたのでここで大丈夫ですよ。」


その言葉を聞いたクィリーノさんは、その場にイェルンさんを落とす。


「いてっ!クィリーノ、もう少し優しく下ろしてくれても‥」


いや、いてじゃないよ。

君のせいで、クィリーノさん死にかけてるからね。


「仲間がいたんですが、あっちはあっちで敵に追われているようです。片付けてくるんで、物陰に隠れておいてください。」


「えっ!そうなんですか!わ、わかりました!」


素早く建物の影に隠れるイェルンさん。

その後を這う這うの体でついていくクィリーノさん。


少し‥

いやかなり‥


イェルンさんを見る目が変わりつつある‥



さて、イェルンさんの事は後の楽しみに取っておくとして、今はこいつらを撃退しないとな。


「おいお前ら。俺が‥」


俺が襲撃者に声をかけようとした時、突然目の前に大きな岩が現れた!


新手かっ!


「お、お腹空いたですぅ!!!」


やばい!

腹ペコ大魔王が現れた!



えっと‥‥‥なんで‥?








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