第844話
「マルコイさんが出来る範囲ってどこまでですか!デ、デートはいいんですか!?キ、キスは‥ごにょごにょ‥」
「んあ?デート?一緒に買い物に行くくらいなら全然大丈夫だぞ。欲しい物でもあるのか?」
正直それどころじゃないんだが、ヨエク戦の切り札になりそうな恵だからな。
まあ最後の方は何と言っているか聞こえなかったけど、それくらいならいいだろ。
「い、いいんですか!あ、あれも‥ま、まさかこれも!うふふふ‥マルコイさんが‥」
うっ‥
せ、選択間違えたかな‥?
それにしてもこの娘ってこんな感じじゃなかったと思うんだけど‥
異世界に残るって決めてから、少しおかしくなったのか?
もしかしたら、精神的に疲れてるのかもしれないな。
あとであやめに話を聞いてみよう。
「そ、それでですね!夕日の見える場所で‥」
「恵ちゃん。ちょっといいかしら?」
「ア、アキーエさん‥」
いつもの状態に戻ったのだろう。
アキーエが笑顔で恵に話しかけてきた。
まだ少し辛そうな表情をしていたと思ったが、すっかり良くなったようだな。
「恵ちゃん、ありがとう凄く助かったわ。さすが聖女ね。今からあそこにいる敵を倒すから協力してくれるかしら?」
「は、はい!で、でもマルコイさんとの約束が‥」
「恵ちゃん。」
アキーエが恵の手を握る。
「は、はい‥」
「恵ちゃん。今はそれよりも先にする事があるの。それに何事にも順番が大事よ。その約束については、わたしたちとお話した後に決めましょう。」
「で、でも‥」
「ね。」
アキーエが満面の笑みで恵と話している。
な、何故かとても圧力を感じるんだが‥
「ひぃ!わ、わかりました。い、今は敵を倒す事が優先ですもんね!」
「よかった。ありがとう恵ちゃん。」
うむ。
何かよくわからないけど、話はまとまったようだな。
ヨエクを見ると、黒い煙は収まっているようだが身体はほぼ再生しているようだ。
だが、恵の聖女の力があればもう問題ない。
「それじゃあヨエクを倒すとしようか。」
「その前にマルコイ。」
「ん?どうしたアキーエ?」
アキーエの方を振り向く。
「マルコイにも後で話があるわ。」
な、なんだこのプレッシャーは‥
ヨエク、魔王‥いや、それ以上の今まで受けた事のない程のプレッシャーだ。
アキーエの後ろに赤いオーラが見える気がする‥
「わ、わかった。と、と、とりあえずヨエクを倒すぞ!」
おそらくアキーエは毒に侵された事に対して怒っているのだろう‥
今まで戦ってきた相手でここまで強力な毒で攻撃してきたやつはいない。
思っていた以上にダメージを受けた事に対しての怒りだろう‥
何故か、プレッシャーが俺の方を向いている気がするのだが、それは気のせいだろう‥
身体がほぼ再生したヨエクが動き出していた。
「キサまラを‥コロシて‥スベテノセイぶツヲ‥コロす‥!」
意識も混濁しているようだ。
頭の中身も何度も壊されている。
もう物事を考えることもできないんじゃないのか‥
多少同情する所もあるが、お前を生かしておくわけにはいかない。
お前をそんな身体にしたシエブラには、俺たちがちゃんとお礼をしてやるから心配するな。
ヨエクの身体からいくつもの腕が生える。
その全てがこちらに向けて放たれたと同時にキリーエとリルの攻撃で千切れて、斬られて地面に落ちる。
落ちた腕は血を流し黒い煙を出すが、淡い光がそれを包み込み霧散させる。
「無駄だ。これ以上お前が俺たちを傷つける事はできない。お前もお前の正しいと思った道を進もうとしたのだろう。だがお前は道を逸れた。逸らされたのかもしれないが、他の人たちの道を塞いでしまうようなお前にこれから先を進ませるわけには行かない。」
「ガァぁ!」
ヨエクが再度腕を生やす。
しかしヨエクが攻撃に移るよりも早く、キリーエたちの攻撃がヨエクに直撃する。
「グがァッ!」
「『神炎に戯れる炎神よ。その力を持って地を灰燼とせよ。炎色神槍』!」
アキーエの前に炎の槍を持った炎人が顕現する。
炎人はその姿を大きな一振りの槍と変え、ヨエクに向かってその身を躍らせる。
炎はヨエクに襲いかかり、その身を焦がさんと躍り狂う。
「ガガガがガッ!」
今回はしっかりととどめを刺させてもらう。
「『創造:鉄爆弾』」
鉄のインゴットを使い、中に圧縮した火薬を詰めまくった特注爆弾だ。
アキーエの爆殺魔法と、俺の爆弾と魔法があればヨエクにとどめを刺せるだろう。
鉄爆弾をヨエクに向かって投げる。
「それじゃあな『爆炎柱』!」
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