第812話

「むう‥‥ここを護れと言われましたが、敵が来ないと暇ですな‥」


アレカンドロはマルコイに言われた通りにギルドを護るべく辺りを巡回したりギルドに戻ったりとウロウロしていた。


だがしばらく見てまわっても敵影も見えず、アレカンドロは暇を持て余していた。


「鍛錬するか、それとも‥ルパートさんと模擬戦するか、ギルドに残っている冒険者の人たちと100人組手をするか‥迷うですな‥」


周りを見渡すアレカンドロ。


「せっかくギルドにいるのであれば依頼を探せば強いモンスターの場所がわかるかもしれないですな!ギルドに行って依頼を確認するとしよう!」


当初の目的をすっかりと忘れ、ギルドに戻ろうとするアレカンドロ。


「アレカンドロ‥ここで待ってたら強いのくる。動くのよくない‥」


いつの間にかリルもアレカンドロの後を追い外に出て辺りを見渡していた。


「おお!リル殿!なるほど、ここにいれば強者が来るわけですな!後どれくらいで来るか‥楽しみですな!たくさん来るといいですが。」


「アレカンドロはさっき戦った。今度はリルの番‥」


「むむむ!確かにその通りでありますが‥‥た、たくさんいたら少し分けて貰ってもいいでしょうか?」


「いっぱいいたら‥‥少しだけわける‥」


「おお!ありがとうございます!できるだけ多く来てくれると嬉しいですな!」




アレカンドロとリルはしばらく待っていたが、一向に敵が現れる様子はない。


「むむむ‥やはりギルドで依頼を見てくるべきではないでしょうか‥?」


「むぅ‥‥確かに‥マルコイに騙されたかも‥」


「騙された?」


「マルコイ、アレカンドロに『ここに何かあるから頼む』っていってた‥でも何もない‥」


「確かに!マルコイ殿はもしかして自分だけ楽しんで戦うために1人で行ったのでしょうか?」


「マルコイならありえる‥‥」


その時、空気を揺らすような大きな爆発音が響き渡る。


「ああ!やはりマルコイ殿が?」


「いや‥‥この全てをこわすような音はたぶんアキーエ‥」


「ああ、なるほど。確かにこの街を破壊してしまいそうな音でしたな。」


「むっ‥‥!」


先程爆発音がした方角とは違う方向から小さな爆発音が聞こえる。


「これがマルコイ‥たぶん人形であそんでる‥‥」


「なんですと!狡いですぞマルコイ殿!」


2人はすぐにマルコイの元に行こうとする。


その時建物の影から1人の男が現れる。


「ほう。一丁前に見張りがいやがったか。しかしこちらの接近にも気づかないような素人どもか。所詮冒険者と言ったところか。」


アレカンドロたちに声をかけた男はホルスターに納めていた銃を取り出した。


「2人か‥しかも女ときた。これは役得だな。」


男の後ろから同じ鎧をつけた男たちが現れる。


「隊長!俺達もおこぼれに預かってもいいですかね?」


「ふん。好きにしろ。あまり時間をかけるとダリック様が先にギルドについてしまうからな。あとは逃げられぬように気をつけろよ。」


「わかりましたっ!」


男たちはアレカンドロたちを囲むように動き出した。




「ふむふむ。だいたい30人くらいですかな。リル殿、これは多いと思っていいですかな?」


「こっちはアレカンドロにやる‥マルコイのほうがたのしそうだからリルはそっちいく‥」


「あ!狡いですぞリル殿!自分もそっちがいいですぞ!」


「アレカンドロさっき戦った‥こんどはリルのばん‥」


「ぐぬぬぬぬ‥承知しました!この中に強い者がいる事を期待するしかないですな!」


アレカンドロはヨエク兵に向き直る。


リルはそれを見て小さな爆発があった方に走り出す。


「逃すかっ!」


リルが逃げ出したと思いヨエク兵が追いかけようとする。


「逃さんですぞっ!」


アレカンドロはスキル【聖鎧闘士】で大斧を創り出し、それを追いかけようとするヨエク兵に投げつけた。


「おら待てっ!くっ、結構速い‥ひっ!うひぃぃ!」


アレカンドロの投げた大斧はリルを追いかけようとしていたヨエク兵の目の前を通り過ぎて、立ち並ぶ建築物を数軒吹っ飛ばした。


「30人組手ですな!よろしく頼む!」


アレカンドロはヨエク兵に満面の笑みを向けた。








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