第816話
ダリックはゴーレムの腕を破壊してから周りを見渡した後に俺に向かって進んできた。
また周りを見渡す動作をしたけど、実際見えてるのかね?
あ、顔の中央に目が現れた。
左右対称ではなく、顔の真ん中にポツンとある。
こっちの要望に応えてくれたみたいだ。
嬉しくないけど。
ダリックがまた腕を振り上げた。
先程の攻撃か?
同じ攻撃を喰らうほど愚かではない。
俺はダリックに向かいゴーレムを操作する。
守ってばかりっての性に合わないからな。
前屈みになり、膝と前腕を地面につける。
落下防止用に取り付けたベルトが体に食い込む。
しかしベルトが食い込んだ身体は加速する事ですぐに背板に押し戻され解放される。
「ぐえっ!」
そ、想像以上の衝撃だな。
俺がスキルを使って移動するよりも遅いが、自分で動いていないとこんなにも速く感じるものなんだな。
羽根人形の時も驚いたが、ゴーレムに乗っていると更にそう感じる。
ダリックは俺が向かってくるのも関係なしで中段突きのような構えから攻撃を放ってきた。
ダリックの意識は明らかに残っていないようだが、身体が覚えている動きはとれるのだろうか?
だがダリックがいくら元軍の副官とはいえ、金儲けが本業だったような腐った奴の攻撃など問題ない。
いや、問題あった。
突きのスピードが速い。
構えや体幹などはむちゃくちゃだが、放つ攻撃は人のそれではない。
おそらく本来の突きの速さに腕を伸ばす力が加わっているんだろう。
だけど2発目だ。
1度見た攻撃をまともに喰らうほど馬鹿ではないぞ。
俺はゴーレムを操作してダリックの伸びてきた腕を屈んで躱す。
そのままダリックの腕にゴーレムの腕を添える。
前腕のローラーを使いダリックの腕を起点にしてスピードを上げる。
ダリックは迫ってきた俺を迎撃するために、逆側の腕を振り上げる。
遅い!
「必殺!ドリルパーンチ!ハイパー!」
ハイパーと言う名の加速付きドリルパンチだ!
両腕を攻撃のために動かしていたため、ガラ空きとなっていたダリックの胸に、ドリルパンチが突き刺さる。
「ががガァァ!」
ダリックの胸元から大量の血が‥‥
溢れ出ない?
なんだと!?
ドリルパンチが当たっている場所を見ると、ドリルが刺さらず筋肉に阻まれている。
くっそ!
なんだよその筋肉!
メンセンの筋肉より遥かに硬いぞ!
次第にドリルパンチの先端が削られていき、動きが止まる。
確かにローラーの方に魔力回復をつけまくっててドリルの硬化はそれほどしてなかったとはいえ、高速で回転しているドリルが刺さらずに逆に削られるとは‥
上方に気配を感じ、すぐにゴーレムを後退させる。
退がった俺の目の前を紫色の腕が通り過ぎる。
あっぶな!
今鼻先掠らなかった?
俺の鼻ついてるよね?
おお、大丈夫ついてた。
しかしまさか必殺のドリルパンチが効かないとは‥
やはり一か八か今の魔力で戦うべきか‥
いや‥‥
待てよ‥
そうか!
別にこだわる必要はなかったんだ!
俺は『スペース』に入っている鉱石のインゴットや素材を確認する。
大丈夫、これなら何とかなりそうだ。
俺はゴーレムのなくなった左肩に手を添える。
「『創造:ドリルアーム』!」
光の粒子がゴーレムの左肩から手先の方に伸びていく。
光の粒子が徐々に消えていく。
光の粒子が完全に消えた後には、ゴーレムの左腕には金属製のドリルアームが装着されていた。
ドリルアーム‥
なんて事はない、先程までの土でできた腕ではなく『スペース』の中に入っていた鉱石のインゴットやゴム、その他の材料を使って創造した物だ。
先端はドリルになっており、任意で回す事が出来る。
そしてさっきまでのドリルよりも遥かに高速で回転する事ができる。
「さて‥こっからは俺の番だな!」
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