第666話
「や、やめろ!く、くるな!」
ジャレドは自分の血で出来た血溜まりの中を尻もちをついた状態で後退りする。
「やめない。くらえ光属性あたっく」
リルが持つ光を放つ剣がジャレドの肩口に突き刺さる。
「があぁ!」
ジャレドの肩口から肉が溶ける音と煙が上がる。
「ああっ!俺の身体がっ!」
肩口に刺さった剣は、徐々にジャレドの身体を溶かしていく。
剣を抜けば焼けたところを切り取りポーションをかければ治るかもしれないが、それをさせないようにリルが剣を差し込んでいる。
「うがぁ!い、いやだ!こんなところで死にたくない!」
剣を抜こうとジャレドは剣身を掴むが、掴んだ指が焦げ落ちる。
「あがぁ‥い、いやだぁ‥」
そしてやがてジャレドの目から光が消え、地面に倒れ込んだ‥
「‥‥‥‥‥マルコイ‥こんなのつくるの変人‥」
「そやね‥それに関してはうちも完全に同意や。マルコイさんおったら、勇者とか必要ないもんな。」
「むう‥」
「リルちゃんどないしたん?」
「マルコイたおす目標がとおのいた‥」
「木刀なら勝てるんちゃう?」
「‥‥‥!!目標へんこう」
「そらよかった。」
キリーエはリルの真剣な表情を見て、額から冷たい汗を流すのだった。
「魔族さんどこですかぁ!」
ミミウは巨大精霊稼働式ゴーレムに乗って戦場を走り回っていた。
ミミウも敵のスキル内容がわかったのか、アンデッドには容赦ない一撃を、生きているモンスターには容赦ある一撃を放っていた。
「ぐがぁ!」
走るミミウにアンデッド化したサイクロプスが駆け寄り、斧による攻撃を放ってきた。
ミミウは盾の腕を素早く回し、斧による攻撃を防ぐ。
「えい!『精霊巨大拳』!」
ゴーレムが構えた拳に鉱石が集まり巨大な拳になる。
巨大ゴーレムの半分ほどの大きさになった拳はサイクロプスを正面から打ち据える。
サイクロプスの身体は半壊し、地面を転がる。
すぐに起きあがろうとするが、足が動かず地面を這うように進み出した。
ミミウは機動力をなくしたサイクロプスを放って再び魔族を探し始める。
しかし巨大なゴーレムはモンスターの目に留まり、モンスターが次々と攻撃を仕掛けてくる。
「むぅ!キリがないですぅ!」
そして今度は左右からアンデッドが駆け寄ってくる。
盾と槍の腕で防ごうとすると、右のアンデッドはミミウに辿り着く前に首が落ち、そのまま地面に突っ伏した。
ミミウは仲間が来たと思い、自分に迫っている残りの左のアンデッドに目を向ける。
すると左のアンデッドは飛来した大斧に身体を2つに切り裂かれて、倒れ込む。
「ミミウここはまかせろ」
「ミミウ殿!ここらはモンスターがたくさんいますな!自分も混ぜていただきたい!」
リルとアレカンドロの2人が駆け寄ってきてくれた。
「2人ともありがとうですぅ!ミミウは魔族さんを見つけて倒すですぅ!」
ミミウは2人にその場を任せて、先に進むことにした。
その場に残った2人に向かいトロールが2匹迫る。
「ほりゃー!」
アレカンドロはそのうち1匹に大斧の振りかぶって投げつける。
大斧はトロールの脚に当たり、トロールは足を縺れさせて転倒する。
「どんどん行きますぞ!」
アレカンドロはスキルで大斧を作り出し、もう1匹のトロールに駆け出す。
「やっぱりアレカンドロのスキルがつよい。あいつのスキルはアレカンドロのれっかばん」
白銀の美しい鎧をつけてトロールに向かって行くアレカンドロを見ながらそう呟く。
「アレカンドロまて。ひとりでたおすのずるい」
リルも敵に向かって走り出す。
トロールと戦っているアレカンドロに追いつきトロールの首を切り落とす。
するとトロールは首が落ちた状態でアンデッド化する。
「ああ!お肉さんがぁー‥‥」
「おおう。ミミウめざとい‥」
リルは片刃の剣を斬れない方に持ちかえ、残りのトロールに向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます