第667話
「むぅ、魔族さんどこですか‥」
リルたちにあの場を任せた後もミミウはゴヤを探していた。
ゴヤはモンスターに隠れて移動しているようでなかなか見つからない。
しかし少しずつモンスターの数も減って来ているのでいずれ見つかるはずだ。
だがそれはミミウの言うお肉さんが少なくなっている事を指す。
アキーエたちは強いからモンスターを倒さないようにしてくれているみたいだ。
だがこれだけの数のモンスターを全てアキーエたちが相手する事はできない。
どうしても一緒に来た冒険者たちにも戦う事になってしまう。
冒険者たちも高ランクの冒険者ではあるが、アキーエたちと同じようにモンスターを相手する事は出来ない。
相手は高ランクモンスターであり、手加減などするものなら自分たちが命を落とす事になるのだ。
そんな事を強要する事なんてできるはずもない。
だがモンスターは倒せばアンデッド化する。
これがいつまで続くのかわからない。
もしかしたら時間が経過すればスキルが解けるのかもしれないが、腐ったモンスターは元に戻らないだろう‥
これ以上被害が、お肉がなくならないためには何としてもスキルを発動したゴヤを倒す必要がある。
ゴヤを倒せば少なくともこれ以上お肉が腐る事はないのだから。
しかしミミウはその事以外にも魔族が見つからない事で少しずつ焦りを感じていた。
精霊稼働式ゴーレムはパワー、スピード共に今のミミウが持つスキルで出せる最高出力だ。
高ランクモンスターでさえ一撃で倒す事ができる。
しかしその分魔力の消費が激しいのだ。
たとえ魔族を発見したとしても状態を維持できていないなら意味がない。
スキルを解いてもいいが、それだと魔族が見つからずアンデッド化するモンスターが増えてしまう。
時間との勝負だったが、そろそろ魔力が怪しくなってきた。
スキルを解除しようかと思った時に、モンスターの影で隠れるように移動している人影を発見する。
人影が見えた方に移動する。
するとそこにはモンスターの影に隠れながら、トールルズを攻めているモンスターの群の方に合流しようとしている魔族を発見した。
魔族がまだ手付かずのお肉を腐らせるために移動していると思ったミミウはスピードを上げて魔族を追いかける。
「見つけたですぅ!」
「ちっ!見つかったか!アンデッドよ!俺を守れ!」
魔族を守るようにミミウに向かってくるアンデッドモンスター。
「退くですぅ!」
ミミウは4本の腕を使い、アンデッドを押し退けるように移動する。
「う、うおっ!」
アンデッドモンスターでは足止めにもならず、自分に迫ってくるミミウに驚くゴヤ。
「く、くそっ!なんだこいつは!」
ゴヤに追いつきそうになった時に、ミミウに近くにいたモンスターが襲い掛かる。
たまたまその場に集団でいたミノタウロスの群れが敵であるミミウを攻撃するために移動してきていたのだ。
「ミノタウロスか!ちっ、あいつらでは足止めにもならん!ドラゴンでもいれば‥」
ゴヤはミノタウロスではミミウを止める事ができないと判断して、他のアンデッドモンスターを探す。
近くに強力なモンスターがおらず、諦めて魔族である自分を脅かすほどの迫力を持ったミミウと対峙するためにゴヤは足を止める。
しかし予想に反してミミウは足を止めてミノタウロスと戦っていた。
何故かミノタウロスを1匹1匹丁寧に相手しているミミウに違和感を感じるゴヤ。
いくら考えても違和感の謎は解けなかったが、おそらく何らかの理由でミノタウロスを苦手としているだろうと判断する。
好機と判断したゴヤはミミウを倒すために行動する。
「ここで貴様を倒してやるぞ!俺の力を思い知れっ!」
ゴヤはミミウと戦っているミノタウロスを最強の不死のモンスターとするべくスキルを発動する。
「はっはっは!アンデッド化できるのが死したモンスターだけと思うなよ!ある程度力の差があれば生きているモンスターもアンデッド化する事ができるのだ!」
「あーーーーーっ!」
その時、ミミウの悲痛な叫び声が戦場に響きわたたった‥
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