第689話
「は?」
うん、そうなると思ってた。
「だから、この戦場には勇者は来てないぞ。」
「そ、そ、そんなウソつくんじゃないわよ!あんたか、さっきの男が勇者に決まってるわ!そうじゃなければ私達と戦えるはずがないじゃない!」
「ウソと言われてもな‥さっきロメント‥そのエルフを連れてきた男が言っていたろ?勇者は4人組だって。本物の勇者はもっと間抜けヅラだぞ。」
本当の事だ。
俺の方がいい男である。
「そんな馬鹿な話あるはずがないじゃない!アフアーブとまともに戦える奴が勇者以外にいるはずかないでしょ!」
ないでしょって言われてもな。
「まあ他種族にも強い奴はいるって事だ。お前ら魔族は自分たちが最強で敵は勇者だけだって思ってたみたいだけどな。」
「そんな奴らがいる事はわかっている!だからお前達が言う冒険者ランクで高ランクの奴は十魔が警戒していた。最高ランクの奴らは十魔の三指が監視していた!だからこの場に我らと戦える者などいないはずよ!あとは獣神国の闘技会にいた戦鎧のリュウトゥングくらいのものだけど、あいつは何故か辺境に旅立ったから放っておいたけど‥」
そんな事してたのか‥
だとしたらロメントが捕まった理由もわかる。
あとリュウトゥングは多分嫁探しだと思うぞ。
でも辺境まで嫁探しか‥
相変わらずなおっさんだな‥
「後は冒険者ランクは低かったけど、闘技会の決勝までいったやつがいたわね‥あんたがそのモリモリなのね!」
「いや、マルコイな!1文字も合っとらんわ!」
「マルコイね!」
一回間違えたくせに、何故そこまでドヤ顔できるんだ‥?
しかしおかしいな、魔族のガルヘアが大会には参加してたはずだ。
『あのお方』とやらにはすぐ報告がいったようだが、魔王は知らなかった?
『あのお方』と魔王には繋がりがあるんじゃないのか?
獣神国の闘技会に魔族が出た事は噂になっているはずだ。
もともと魔族は他種族と交流する事はないから、その事実が伝わってなくてもおかしくはないが‥
魔王は『あのお方』と共闘しているとばかり思っていたが違うのかな?
「まさか偶然低ランクが決勝まで進んだとばかり思っていたのに‥まあいいわ、勇者がいないのなら光属性もこの道具くらいと言う事。ラーシュを倒した物が数多くあれば使っているはず。それがないという事はラーシュを倒した高威力の魔道具はもうないと思っていい。だとしたら私達に負ける理由はないわ。エルフ!」
ハーフェルがロメントに声をかける。
すると表情なくハーフェルに付き従っていたエルフが、こちらに向かって走ってくる。
むう。
こいつもいい加減元に戻れってんだ。
全く気合が足りないんだ、気合が。
何度か強い衝撃与えたけど、元に戻らなかったからなぁ。
よっぽど強く、それこそリルと同じくらいの強力な洗脳をされているみたいだな。
「勇者じゃないならいくらでもやりようがあるわ。エルフ、あいつの動きを封じなさい。そしたら私のスキルでとどめを刺すわ。」
あいつ‥
ロメントが俺の動きを止めたら、ロメントごと俺を攻撃するつもりだな‥
仕方ない‥
ロメントを亡き者にする計画は諦めるか‥
俺はエンチャント:勇敢なる者を発動する。
ロメントは俺に向かって駆けながら精霊魔法の準備をしている。
「『荒ぶる水の精霊よ。僕の矛となり敵を穿‥』がっ!」
俺は高速でロメントに近寄り、その顔面を掴む。
「すまんなロメント。ちょっと我慢しろよ。」
俺はロメントの頭に光属性の魔力を流す。
「あがががばばばばぼぼぼぼっ!」
しばらく流して様子を見る。
「がっ‥うっ、お、俺は‥」
まだみたいだな!
「あぶぶぶぶぶべべべべべっ!」
何か喋ったような気がしたけど気のせいだろ。
しばらく流して手を離す。
ロメントの頭から煙が出ている。
よし。
これくらいかな。
呆然とこちらを見ていたハーフェルと目が合う。
「な、な、な、なんなのよそれーっ!」
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