第55話

「うん問題ないわ。良質のミスリルみたいよ。」


「よかった。後は値段の交渉だな。」


流石に希少金属だ。全て使ってナイフの刃先が出来るかどうかの量だが、パーティの貯金ではなく、自分の貯めているお金だと買ってしまうとほぼなくなる。


「キリーエ頼む。この先の俺の生活はキリーエの手腕にかかっている。」


「なんかあんまり頑張らなくてもいいような気がするんやけど‥まぁ頼まれたからにはしょーがない。全力で頑張りますわ。」


するとキリーエは店の人を捕まえて値段交渉を始めてくれた。


「おっちゃんこのミスリルやけどな。インゴットやないからもう少し安くしてくれん?」


「いやいや、お嬢ちゃんインゴットじゃないからこの値段なんだよ。でも多少は安くすることもできるけど‥」


「じゃあこの金の混じった小ぶりの鉱石も合わせて買うから合計でこの値段でどう?」


「それじゃ商売上がったりだから‥‥‥」



15分ほど値段の交渉が続いていたが、ついに店主が折れてくれたみたいだ。


「マルコイさん金はウチが買うけど、ミスリル単体だと最初の値段の4/5くらいの値段にはなったよ。」


4/5ってすごくないか?確か金貨50枚くらいだったはずだが40枚まで値引きしてもらったのか‥

もうキリーエに頭が上がらない気がする‥


「よ、よし思ってた以上の成果ありがとうございます。」


「なんで丁寧な言葉使いなの?」


「い、いや改めて凄いなと思いまして。」


そして目的のミスリルの他に鉄鉱石などを購入して市場巡りツアーを終了するのだった。


「終了しないですぅー!」


「まだ小麦の粉で作る美味しい料理食べてないですう!」


おう‥

今日は疲れたから明日にでもしたかったが、明け方から部屋の前に待たれそうな気がするからな。


宿の厨房を借りて料理をする事になった。


「さてまずは小麦の粉をボウルに入れて、次に蜂蜜を入れる。」


他の材料はミルクと卵だ。

全部の材料を混ぜて、熱した平たい鉄鍋に流し込む。

そして表面に気泡がふつふつと出てきたらひっくり返す。

ん〜いい色合いだ。

両面を焼いたら皿に移して残りの蜂蜜をかける。


「さて出来上がりだ。ホットケーキって食べ物らしくて、向こうの世界では食間なんかに食べるみたいだぞ。」


「へ〜、美味しそうね。」

「ほんと。これは商売になりそうや。」


ん?ミミウが大人しいな‥

あ、ホットケーキに釘付けになってて言葉を発する事も忘れているようだ‥


「はは。じゃあどうぞお召し上がり下さい。」


俺も1枚食べてみよう。

おお、これは美味しいな。

俺はそんなに料理は得意じゃないんだが、そんな俺でも出来るくらい簡単だし偶に作って食べるのはいいかもしれない。


「こ、これは予想以上に美味しいわね。」


アキーエの口にもあったみたいだな。


「これは薄くして、上にフルーツを乗せて見栄え良くしてもいいかもしれない。他にも乗せるものをアレンジすれば‥」


キリーエさん‥全てが商売に繋がってますな。


ミミウは‥

うん。自分で次を焼いてるな‥

しかも3段重ねにチャレンジしてらっしゃる‥


異世界の料理はやはり美味いな。

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