第786話

鉄人形たちがヨエク兵に向かって進んでいく。


「ねえマルコイ‥あれなに?」


アキーエが横からあんぐりとした表情で聞いてくる。


そんなに口を開けてると虫が入るよ。

ほら、虫がお口めがけて‥

あ、反転してどこかに行った‥


おお、虫すらもアキーエさんの事を恐れてるわけですね‥


「何って‥鉄人形だけど?」


おかしな事を聞くものだ。

あれがスライムにでも見えるのだろうか?


「そうじゃないわよ!それくらい見たらわかるわ!あれはどうやって作ったの?前に作ってて、『スペース』から出したの?それにしても今までの人形に比べると動きもスムーズだし、新しいスキルなの?」


まあそうなるわな。

今までの木偶人形たちは人形らしい所があった。

爆発するけど。


しかし今度の鉄人形たちは、まるで異世界のマネキンのようだ。

俺もこの一瞬で、神聖国に侵入した時に使ったイコルのような高水準の人形を作れるとは思わなかった。


後ろを振り向くと、ギルドにいる全員が口を開けて鉄人形を見ている。


あ、全員じゃなかった。

ミミウたちは普通に見てるな。

キリーエなんかは諦めたような顔で頷いている。


でもみんなそんな口を開けてたら‥

あ、アキーエの口に入ろうとしていた虫がルパートさんの口に入った。


盛大に咽せてらっしゃる。


「そうだな。ルパートさんのスキルを模倣したら、今まで使ってたスキル【スードゥクリエイター】と【ディバイズメイキング】を統合してスキル【創造士】ってスキルになったんだ。」


「で?」


な、なんだよ‥

で?って言うなよ‥


「そ、それでな。頭の中に描いた設計図を、素材と魔力を使って形にしてくれるんだ。」


「それがあれなの?」


アキーエが鉄人形たちを指差して言う。


「そうなんだよ!凄い出来だろ!【スードゥクリエイター】で使っていた『人工核』も中に埋め込まれてるんだ!それで関節部位なんかは、『スペース』の中に入ってたゴムなんかを使ってるんだぞ!俺が創造した物をそのまま形にして創ってくれるんだよ!まだ手探りだった魔道具なんかも、これからたくさん出来るぞ!あれやこれや、ラケッツさんに使ってもらう物や、イェルンさんに嫌がらせ的な魔道具もすぐ創れるんだ!」


俺が熱く語っているのに、何故か眉間を押さえるアキーエ。


何故だ?

俺の熱いパトスが伝わらないのか!?


「あー、はいはい。充分わかったわ。ついにそんな事まで出来る様になったのね‥スキルは創り出すし、物まで創り出すなんて、それこそ神様みたいになってるじゃない‥もういっその事タルタル神を名乗ったらいいんじゃない?」


な、なんて事言うんですか、この人は!


「いや、それはそれ。これはこれだろ。だいたい‥」



「うわっ!なんだコイツらは!」「うおっ!撃て!撃ち殺すんだ!」


ん?

なんだよ、うるさいな。


今ちょっとアキーエと真剣な話をしているところなんだぞ。


「あ、人形たちがヨエク兵と接触したみたいね。」


あ、忘れてた。


「アキーエ、今の話は後からちゃんとするからな。」


「はいはい。」


俺はアキーエに釘を刺してヨエク兵の方に視線を向ける。


「うわっ!銃が弾かれた!」

「ぎゃー!」

「銃を撃つな!跳弾で味方に当たるぞ!」


おお。

阿鼻叫喚ですな。


でも銃を撃たなくても攻撃されますよ。


「がぁ!う、腕が!腕がぁ!」

「や、やめろ!来るな!ぐわぁっ!」


う〜ん、地獄絵図。


「ええい!銃ではなく、各々武器で攻撃しろ!」

「武器なんて持ってきていません!」


「く、くそっ!何なんだコイツらはいったい!」


はい、自立式殺戮鉄人形魔道具さんたちです。


ちなみに非武装ですが、おそらくAランクのモンスターも殴り殺しそうです。


「た、退却だ!退却しろっ!」


いやいや、逃すわけないじゃないですか。


「ひぃ!う、後ろにもいます!囲まれてる!逃げれません!」


ふっふっふ。


さて、ちょっと様子でも見に行きましょうかね。










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